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【書評】「今さら聞けないクラウドの常識・非常識」城田真琴氏の新刊書き下ろし

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小川氏のtwitter本を書店で手に取ろうとしたらこの本が…。ここへ来てまたクラウド本ブームである。
クラウドの衝撃」著者の城田真琴氏が「今さら聞けないクラウドの常識・非常識」という新書を出されている。
普段あまり新書コーナーには立ち寄らないのだが、twitterとクラウドという見慣れた字面が並んでいたせいか
ふと立ち止まることができた。新書なので両方買っても1500円程度、重くもないし電車の中でさっと読める。
日々フロー情報が飛び交う中、立ち止まってスナップショットを整理するには最適だ。

このブログを読んでいる方々には、もしかすると新しい情報はそれほどないかもしれないが、事実を構造化して
整理し、わかりやすく伝えることは重要だ。「うちもクラウドやらんとな」とかいってしまっているエライさんに
手渡して自習させるのが一番よい使い方かもしれない。私も立場上クラウドの話を方々でしているが、正直な
ところもういい加減、「クラウドコンピューティングとは…」というところから説明するのはやめにしたいと
常々思っていたので、このような書籍がフォロワー層への概念浸透に役立つことを期待したい。

ユーザー目線でクラウドを語るとどうしても実際の活用事例が話しやすいセールスフォースにページを
割きがちだが、現在のセールスフォースの仕組みはスケールアウトによる理論的には無限の拡張性や
その特性を活かした次世代コンピューティング、アーキテクチャ、プログラミングスタイルといった要素を
あえて省いており、今ある技術でクラウドのユーティリティーコンピューティング面に重きを置いて
実現しているだけにすぎない。使った分払いや短期導入云々だけの話であれば昔からあるASPと
本質的には変わらないという点は、エンジニアの方には周知の通りだろうが、ビジネスパーソンの方が
本書を読み進める上で多少留意していただいた方がよいだろう。

Azureについても客観的にとりあげていただいている。グーグル万歳マイクロソフト帝国は敵だ、とした方が
ヤジウマ的にはおもしろく、販売面では歓迎されるのかもしれない。迎合することなくITアナリストとしての
冷静な姿勢を貫かれている点は、当たり前なのかもしれないが、プロフェッショナル意識に敬意を表したい。
心当たりのあるであろう一部のメディア関係者は見習って欲しいものだ。

本書の中で、Newな話はJTB情報システム北上取締役副社長と城田氏の対談パートかもしれない。
クラウド絡みでエンドユーザー側の論客といえばローソンCIOの横溝氏が筆頭だが、北上氏の話は
SaaS利用面にとどまらず、サーバーの仮想化や各システムのサービス化、クラウドへの切り出しなど
情報システム部門の責任者として悩ましい課題に最新技術を駆使して取り組んでおられる体験談は必見だ。

さて、他の本の事を書いておきながら、こちらも年内出版予定のAzure本執筆が佳境だ。共著でお願いしている
他の著者の方々には激務の中期日通りすばらしい内容の原稿を提出していただいているにもかかわらず、
私が遅れていて出版社他関係各位に多大なご迷惑をかけている。ブログ書いている暇があったら
「原稿の完成度を上げろ」というご指摘ごもっとも。こちらもこうご期待だ。

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