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クラウド戦役をZガンダム視点でわかりやすく解説するブログ+時々書評。

拝啓、Amazon様。レコメンデーションと課金・配送サービスをマイクロソフトにも提供してください

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正直なところ立場上絡みにくいお題ではあるが、あえて上から目線で切り込みたい。
「マイクロソフトがAmazonを買収するとして、何がほしいか?何がいらないか?」
最初におきまりで断っておくが、これはマイクロソフトの総意を表すものではなく、
あくまで私個人のAzure的視点に偏った見解である。

まず、本屋さんをやるつもりはないので、本屋以下、ネット小売サービスは
これまで通りやってもらいたい。門外漢のマイクロソフトが口出ししても特によいことは
ないだろう。マイクロソフトプレスの販売店さんとしてがんばっていただきたい。

では、Amazonが競合になってしまったクラウド分野に目を移したとしてEC2やS3は
ほしいか?といわれると、微妙なところだ。彼らの商品ポジションと同じで、
安ければ買う、であろう。Googleやマイクロソフトなど資金と技術に優位を持つ
ベンダーが本気になってしまって先行逃げ切りでどうにかしようという現状の展開に
プレミアムを払うのは微妙だ。現在抱えている顧客は欲しいか?といわれても、
価格優位だけで集まった顧客層にあまり商売的な価値はない。もっと安いサービスを
提供すればそちらにながれる極めて価格弾力性の高い人々だからである。
現状、キャッシュフローを生みにくいビジネスを事業として買い取るのは微妙だ。
データセンターを自前で建設するかファシリティを買収するかは純粋に
スピードとコストの問題でしかない。

「結局何もいらないのか?」といわれると、そうではない。クラウドがいらないとは
いっていない。ファシリティと、仮想マシン貸しのEC2やS3サービスはいらない
といっただけである。加えていうならば、DynamoやSimpleDBと呼ばれるような
技術力さえあれば誰でも作れそうなミドルウェアや検索サービスA9もいらない。

欲しいのは、もう少し上のレイヤーの「Amazonらしい」サービス群だ。
具体的にいうとレコメンデーションエンジンと課金・配送サービスである。

Amazonの協調フィルタリング的レコメンデーションエンジンの仕組みは
- 定評がある(推薦の確からしさを担保するブランドイメージ)
- 技術的にも比較的洗練された実装になっていると思われる
- 運用ノウハウや関連データが蓄積されている
という観点で、非常に優れた仕組みである。おそらくソフトウェアのアルゴリズムが
ものすごく先進的で従来の協調フィルタリングとは全く違うものか?といわれると
おそらく期待するほど驚くべき発見があるようには思えないが、精度とパフォーマンス、
運用コストのバランスの取り方や、運用ノウハウも含めた全体的な仕組みは、
長年自社サービスの中で練り上げられ、創意工夫が詰め込まれた価値あるものであり、
プレミアム価格を払ってでも獲得したいものである。

また、課金・配送サービスについても、リアルな物流システムとしては、
オペレーショナルエクセレンスを実現した筋肉質な仕組みができあがっている。
何に使いたいかというと、代替案としてはAppStoreでもよいのだろうが、
Windows Marketplace for Mobileの発展版で、世界中の開発者が今後クラウド上に
提供してゆくアプリケーションの課金サービスで、比較的少額の柔軟な決済や代金回収
および何かあった場合のトラブル解決の運用の仕掛けが必要となるためである。
もちろんWindows Marketplaceでもよいのだろうが、ビジネスの立ち上がりの不透明さを
考えると、裏方の運用はどこかを買収した方がリスクが少ないだろう。

物流の仕組みは、ソフトウェアの使用権だけでなくDVDや関連書籍・マニュアル、
契約書やノベルティなどを購入者に提供したい場合や、すでにEC2で実現しているように
反対にデータをHDDやDVDでまとめて送付したい場合などに活用できる。
せっかくクラウドでPC環境に縛られない自由な世界観を提供しようとしているのに、
開発者やクリエイターの創造力を流通の制約で制限してはならない。
しかし、この泥臭い業務はソフトウェアベンダーには向いていない。
小売のスペシャリティが生きる領域だ。

これら、レコメンデーションエンジンと課金・配送サービスは是非とも手に入れたい
技術・ビジネス要素ではあるが、買収というのは「両思い」でないと成立しない。
不幸にして買収がかなわなかったとしても、Azure上でこれらの仕組みが利用できる
ように切り出してOEM供給してもらえると、我々が、というより世の中全体的に
助かるのではなかろうか。

AmazonおよびAmazonの株主の視点で考えれば、せっかくのビジネスの種があるなら、
他のプラットフォームにも横展開して利益を得た方が得策だろう。そして、近年では
Office製品やらなにやらのおかげで垂直統合、全体支配モデルと勘違いされがちな
マイクロソフトではあるが、ビジネスの根幹はプラットフォーム提供であり、
アプリケーション・サービス層におけるBest of Breedの方向性は大歓迎なのである。

最後に繰り返し、Amazon様へのお願い。レコメンデーションと課金・配送サービスを
Azureでも提供できるようにしてください。

エウーゴ向けにMSA-003ネモを作ったら、ガンダリウムガンマを含む同じ技術を転用して
敵対するティターンズ向けにRMS-108マラサイを提供したり、RX-78GP04ガンダム試作4号機
コードネーム:ガーベラをAGX-04ガーベラ・テトラとしてシーマ様に献上したりする、
アナハイムエレクトロニクス的したたかさを持っていただきたいものである。

Comment(1)

コメント

Amazonへのおねだり企画に、参加ありがとうございます。
ってか、さすが砂金さん。
他のブロガーがみんなユーザーとしてのオネダリを書く中に、ビジネス目線できましたねぇ。もしマイクロソフトがAmazonを買収したら……、あらぬ妄想が膨らみます。

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