自分は負けの割合を正しく見積もれていたか ~『一勝九敗』を読んで
»
思うようにいかないことが実際起きたときに私たちは反省するものだ。例えば受注できるだろうと期待していた仕事が逸注に終わってしまったときなどのように。
そんなときこそ、実際の状況はこうだったのではないかと、自分が思い違いをしていたことを真面目に反省してみるものだ。実は、日常的にも失敗につながる前兆やら小さな失敗がたくさんあり、今となってはそれを見過ごしていたことも振り返ると、反省の分量が足りなかったことにも気づけて、半分ぐらい気持ちが楽になったりする。
一勝九敗
柳井 正 (著)
自分の、正味の負けの比率をもう少し多めに見積もったほうが実情に近いのではと感じる部分と、妙にこのタイトルの「一勝九敗」がフィットしたので読んでみた。私自身、いよいよ新年度が始まるにあたって、反省し足りない自覚を深くするには本書は好材料になった。いま絶好調の方はかまわないが、私と同じように反省多くして新年度を迎える方にとって、本書はためになるのではないだろうか。
著者の柳井氏は、ご存じのとおりユニクロ(ファーストリテイリング社)の創業者。大成功の方とも言われる人の言葉に共感したというのはおこがましいが、数多くの負けを負けと認めて生きてきた人だと思う。
一直線に成功ということはほとんどあり得ないと思う。成功の陰には必ず失敗がある。当社のある程度の成功も、一直線に、それも短期間に成功したように思っている人が多いのだが、実態はたぶん一勝九敗程度である。十回やれば九回失敗している。この失敗に蓋をするのではなく、財産ととらえて次に生かすのである。致命的な失敗はしていない。つぶれなかったから今があるのだ。 (本書から引用) |
柳井氏が言うように、一勝九敗という勝ち負けの比率は、今後も、反省のベンチマークとしておきたい。
##
反省することに加えてもうひとつ、新年度は新しい気持ちで迎えたい。
あとがきに柳井氏が「起業家の十戒」を書いているのでそれを引用しておく。新年度を濃いものにしたく、気合いを入れて仕事に取り組んでいきたいと思う。果たして勝ちが1個増えるのか、負けだけが増えるのか分からないが、これからの1年、毎日を濃くしていきたい。
起業家十戒
1.ハードワーク、一日二十四時間仕事に集中する。 2.唯一絶対の評価者は、市場と顧客である。 3.長期ビジョン、計画、夢、理想を失わない。 4.現実を知る。その上で理想と目標を失わない。 5.自分の未来は、自分で切り開く。他人ではなく、自分で自分の運命をコントロールする。 6.時代や社会の変化に積極的に対応する。 7.日常業務を最重視する。 8.自分の商売に、誰よりも高い目標と基準を持つ。 9.社員とのパートナーシップとチームワーク精神を持つ。 10.つぶれない会社にする。一勝九敗で良いが、再起不能の失敗はしない。キャッシュが尽きればすべてが終わり。 (本書から引用) |
.
SpecialPR