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プロセス、戦略、人間学の視点からプロジェクトを眺めます。

プロジェクトには呼吸がある

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前回のエントリーでは、「プロセスとは何か?」というお話をしました。プロセスは料理の「レシピ」のようなもので、レシピをつくる、研究することで、「おいしい料理=成果」を生み出すことができるという話でした。

今回は、プロジェクトの人間的な側面についてお話します。

プロジェクトには呼吸があります。いくら、緻密な計画を立て、プロセスを設計したとしても、それを実行するのは「人」です。人は感情の動物であり、理屈通りには動かないものです。プロジェクトもこの人間というものの理解なくしては、成功に導くことはできません。

たとえば、プロジェクトのスケジュールが遅延していたとします。残業に続く残業、休日出勤と、体力も限界に近づいています。それでも、やっとの思いで、マイルストーンを越えることができました。とは言っても、最終のゴールまではまだまだ道のりが残っています。こんなときに、あなたがプロジェクトマネジャーならどうするでしょうか。

山場を越えたのだから、ひとまずメンバーの身体を休めなければなりません。休んでいなかったメンバーを休ませ、しばらくは定時で帰ってもらおうと思うかもしれません。このときの対応に、プロジェクトマネジャーとしての腕が試されます。

経験の浅いプロジェクトマネジャーは、ここぞとばかりにメンバーに休みを取らせ、毎日定時で帰します。メンバーも喜びますし、やっとマイルストーンを越えたのだから、それぐらいしてあげたいと思います。

しかし、それまで残業、休日出勤が続いていたメンバーが、急に休みを取り、毎日が定時上がりになったら、どうなるか。それまでピンと張りつめていた糸が、切れてしまうのです。

休みを取ってもらうのもいいでしょう。早く帰ってもらうのもいいことです。しかし、その「緩め方」が大切なのです。一度切れた緊張の糸は、なかなか元に戻りません。あまりに緩めすぎてしまうと、いざ負荷をかけないといけないとなったときに「さぁ、やるぞ!」とは、なかなかならないものなのです。

休みを取ってもらうのなら、いきなり2日、3日と連続で取らせるのではなく、仕事の緊張が途切れない程度にしておくのです。また、毎日残業なしで帰すのではなく、1時間、2時間は残業してもらって、少しでもプロジェクトを前倒しにするよう、お願いするほうがいいのです。それでも毎日終電だったメンバーからすれば、とてもありがたいことなのです。

私はマイルストーンが終わると、その次の次の日(次の日は怖いので(笑))に全員に休みを取ってもらうようにしていました。そして、休みの次の日は、メンバーみんなに集まってもらって、次のマイルストーンに向けての方針を伝え、緊張感を取り戻してもらっていたのです。これが、2日も3日も休んだあとでは、まったく伝わりません。

これは休みを取ってはいけないということでも、早く帰すことがいけないということでもありません。プロジェクトは人間が実行します。メンバーの休ませ方ひとつとってみても、人間の心理面の理解が欠かせないということなのです。プロジェクトの呼吸を読むことが大切なのです。

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