オルタナティブ・ブログ > 仮想化&ストレージの基礎と最前線 >

家庭用NASと企業用NASとの決定的な違いは

»

おはようございます。今週はGuns and Rosesが来日していますね。私はThe spaghetti incedence以降疎くなっていましたので、急遽予習しているところですが、Use your illusionまで知っていれば何とかなりそうです。はるか昔、彼らが来日した際にNHKホールに見に行ったところ、たった40分でライブが終了してしまって憤慨したことを思い出しました。今回はそうならないことを願います。あとはBabymetalの物販のために何時間前に現地に行く必要があるのかが心配な今日このごろです。

今日は企業で使うNAS(Network Attached Storage)にはどのような機能が付加されているかをご説明します。

PAK86_smonitatocode20140517_TP_Vs.jpg

■NASとは何か

NAS とは、Network-Attached Storage の略称のことで、LAN に接続して利用する外付けハードディスクをさしています。NAS と表記して「ナス」と読みます。外付けHDは1対1ですが、NAS は LAN のネットワークに接続して、そのネットワークに参加している各デバイスからのアクセスが可能であるのが大きな特徴となっています。
家庭内やオフィス内にある複数のパソコンやスマホなどを LAN 経由でNASに接続してファイルのバックアップや共有などをするために利用されています。
ただ、USBなどを介して直接PCに接続する「外付けハードディスク」などと違い、使いこなすことがなかなか難しい代物ではあります。外付けPCと同じように捉えられたりもしますが、実質、NASはファイルサーバーでありファイルの置き場に特化したコンピューターという位置づけになるでしょう。
設定は比較的高度であり、NASに画面を繋いで直接設定や制御をするのではなく、ネットワーク越しに設定するので、通常の外付けHDのように、すぐに使えるというわけではありません。デジタルデータが主流の現代では、NASの需要は以前に比べて高まっているのです。
製品によってはハードディスク内で暗号化して保存するものがあり、NASそのものが盗難などにあったとしても、内部のデータが漏えいするということはありません。

■家庭用NASとはどんな用途に使うものか

そんなNASですが、大きく分けて家庭用と法人用が存在します。家庭用のNASは、ストレージ機能に加え、プライベートの写真や動画を管理したり、音楽サーバー代わりに使ったりなど、多彩な機能を持っています。
また、最近では、家庭でもPCが一家に一台という状況ではなく、個人でもPC、タブレット、スマホのように複数のデジタルデバイスを使い分けることが普通になってきました。こういった状況を考慮すると、NASのような独立型の集積場所が便利になってくるというわけです。
スマホの記憶容量には一定の限度があるためNASにデータを保存すればスマホ内の記憶容量を効率良く利用できるというわけです。

個々のパソコンに関しても、ハードディスクの空きスペースは人それぞれでしょう。大量のデータを所有し、空きスペースがほとんどない人もいれば、データ保存はほとんどしておらず、ハードディスクがほとんど開いているという方もいます。NASがあれば、そんな人に応じた状況を考慮しつつ、それぞれの人が必要に応じてスペースを使うことができるというわけです。

まだ家庭で利用している人の数は多くありませんが、利用するとなると、動画などのファイルサイズの大きなものがメインとなるでしょう。
家庭用のNASを選ぶ場合、どんな用途なのかを具体的に想定して機種を絞り込むようにしましょう。例えば、テレビ番組の録画を多くしているという場合、各デバイスで視聴したいというニーズがあります。その場合は、ハードディスクレコーダーとしての機能は当然のことながら、そこからダビングを行うため、DTCP-IP という規格を有している必要性があります。それに対応している場合、ブルーレイディスクやDVDへの保存も可能なため、動画をさらに楽しむことができます。
なお、NASは内部で頻繁にデータの書き換えを行うため、騒音が気になることがあります。その場合は、ファンレスで静音設計になっているモノや、ハードディスクをしていないモデルの検討を行いましょう。

■企業用NASとはどんな用途で使用するのか

NASは大量のファイルを安全に保管したい、複数の人で共有したいというニーズに応えられる情報集積スペースであり、当然ながら企業でも多く使われています。
NASは、共有しているファイルに対するアクセス権限を詳細に設定できます。そのため、企業で利用する場合、部署ごとにファイルに対するアクセスを「閲覧のみ」「編集も許可」などと細かく指定することができます。
なお、企業ではオフィス系のファイルなどそれほど大きなサイズのファイルを扱いませんが、使う人数が多いことが問題です。従業員が多い企業の場合、一台のNASにて、多くのアクセスが集中することになりますので、転送速度やパワーなどが求められます。大企業における大規模なネットワークにてNASを利用する場合、LAN配線用のハブと、デバイスの台数分のLAN ケーブルが必須となります。ファイルの共有、バックアップ機能など、利用の幅がとても広く使い勝手のいいNAS。家庭でも企業でも、一度使うとやめられなくなるほど使用効率・業務効率は高まります。

■企業用NASに備わる機能

企業で使うNASは家庭とは異なり、多くの人が1台のNASを共有することになります。そのために必要なこととしては

  • 信頼性が高いこと
  • 管理がし易いこと
  • データが守られていること
  • 拡張しやすいこと
  • 特定用途に向いていること

等が挙げられます。

信頼性については、コンポーネントを冗長化することで、何かしらハードウェア障害が発生してもそのまま稼働し続ける仕組みを取っていることが多いです。2重化や3重化されているNASもあり、アクセスできないという事態を避けるように設計されています。
管理がし易いことについては、ユーザー一人ひとりの使える容量(Quota)を設定したり、性能の上限を設けたり(QoS)などをすることで、ある程度管理者が面倒を見なくてもルールを守って利用できるような機能を備えていることが大事です。また、ユーザーのアクセス権限を管理できるツールなども必要です。
データが守られていることについては、データが消去や紛失した場合にもとに戻せる機能が必要になります。スナップショット、バックアップ、レプリケーションなどを利用して、普段からデータを復旧させるプロセスを確立していることが重要です。また、セキュリティという面でも、企業使用特徴としてはさらに重要になります。
拡張しやすいことについては、NASを動かし続けながら容量を増やす作業を行えることが企業にとって必要と考えます。昨今ハードディスクやSSDの容量密度が上がっているのでそれを有効に使わない手はありません。その容量を増やす作業もできれば簡単に行えるのが良いです。

■特定用途に使われるNAS

最後に特定用途に向いていることですが、複数の人が同じストレージにアクセスできるというイメージを、複数のアプリケーションや複数のサーバーに置き換えることで、単にファイル共有以上の用途が見えてくるのです。物理サーバーに仮想環境を導入して、複数のサーバーを仮想的に運用する場合、ハイパーバイザーがNASのプロトコル(NFSやSMB)に対応していれば、NASに仮想マシンのカプセル化したファイルを格納して運用できます。VMware ESX、Microsoft Hyper-V、Citrix XenServer、Red Hat Enterprise VirturizationなどのメジャーなハイパーバイザーはNASのプロトコルに対応しています。企業の共有ストレージでよく使われるブロックストレージの場合、仮想マシンのカプセル化したファイルがどのような挙動をしているか把握することができませんが、NASであればそれぞれの仮想マシンの挙動を監視することが可能となります。例えばTintri VMstoreはNASとしてサーバーに接続する、ファイルを認識して仮想マシンの挙動を把握することが可能な仮想環境専用ストレージです。

Comment(0)