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VDIを導入することの利点

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週末、自宅用に新しいPCを購入したのですが、その日のうちにディスプレイに物を落として液晶を割ってしまい、落ち込んでいる羽鳥です。自腹で修理しようかどうか悩んでおります。

今日は、オンプレミスだと運用管理が難しいと言われている仮想化(VDI)を、導入や運用コストでは見えない部分の利点について説明します。

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VDIとは

Virtual Desktop Infrastructureの略で、最近流行りになっているシンクライアントの主な実装方式のうちのひとつということができます。
この方式は、サーバーベース方式とブレードPC方式のメリットを兼ね備えるものとして効率的なサービスを提供するものとなっています。

シンクライアントの一つとなっている画面転送型タイプのうち、現在主流として注目されているのがこのVDI方式です。市場環境の変化、新たなニーズの対応、ITインフラの仮想環境へのシフトなどの要素が、VDIの採用を後押ししています。
VDIには、ヴイエムウェアの「VMware Horizon View」や、シトリックスシステムズの「Citrix XenDesktop」、マイクロソフトの「Microsoft VDI」など主要メーカーがサービスを提供しており、今や世界規模のレベルで多くの企業が導入を進めている状況にあります。

このVDI導入によるメリットとしては以下のようなものがあげられます。

クライアント端末の設定不要でオペレーションはかなり楽に

VDIはユーザーごとに個別の仮想マシンを提供し、これらのVM上でデスクトップOSを動作させることになります。VDIを導入すると、まず運用サイドにとってはPCの配布作業が楽になります。ファットクライアントの物理PCの場合、従業員の手元に届けるまでに、管理者がさまざまな作業を施す必要がありました。ハードウェアの調達、OSのマスターイメージの展開、ネットワークの接続設定、パッチの適用といったもの
で一定時間が必要となり、従業員数の多い企業ではそれだけで大変な時間と手間をかけることになってしまいました。
しかし、VDIを導入すれば、新しいデスクトップを用意するのは実に簡単です。新しい仮想マシンを立ち上げるだけですぐに利用を開始することが可能となります。ハードウェアを調達する必要はありません。設定作業も物理PCに比べればほとんど必要がないのもオペレーション上の大きな魅力となります。
物理PCと違って、社員数が増えた場合でも、Active Directory内の人数が増えるだけですから管理者の負荷はほとんど変わることがなく、管理が非常に簡単なのも大きなメリットになります。

セキュリティ対策は秀逸

VDIは、セキュリティ管理も実に簡単に実現することが可能になります。ユーザーが互いに隔離されているため、厳しい規制やセキュリティが適用された厳しい環境において、情報の流出が深刻な問題となるケースではVDIはもっともその状況を改善するのに適したソリューションとなります。各デスクトップは、起動時にマスターイメージを複製して作ります。マスターイメージさえメンテナンスができていれば、それが全てのデスクトップに反映されることになります。また物理PCと違って一台一台、セキュリティパッチを適用したり、ウィルス定義ファイルを更新したり手間はまったくかかりませんので、人数の多い企業などや人の出入りの激しい企業などの場合でも実に簡単な管理を実現することが可能となります。
VDIでは、ハイパーバイザー単位でウィルススキャンを実行することができるようになっていますので各ユーザーに、ウィルススキャンを独自に実行しなくても、システム管理者が一括して実行可能であり、企業レベルのセキュリティはかなり高まることになります。これまでのPCですとユーザーの作業漏れによる問題の発生は常に起こるリスクでしたが、VDIを導入すれば管理者がセキュリティ対策を自らの手で常にコントロールすることが可能となりますので、全社レベルのセキュリティ対策は万全になります。
また大量のデータを社内のサーバーから持ち出すことは一切できなくなりますので、社内起因による情報漏えいについても高いセキュリティレベルを維持することができるのは大きなメリットといえます。

ワークスタイル変革の鍵に

VDIを利用すれば自宅でのホームワーカーといった新しい仕事の仕方を実現することも可能になります。あらかじめ登録した端末からネットワークを介してアクセスすることができれば、会社に行かなくても同様の環境で仕事をすることができますし、ファイルやデータ類もサーバーから持ち出すことなく収納することができることから新しい働き方を模索することも可能になるのです。これはワークスタイル変革に大きく寄与する仕組みにもなるといえるのです。

BCP/BCMにも大きく寄与

東日本大震災の直後、オフィスへ通勤ができないといった不測の事態が起こり、業務に遅滞をきたしてしまった企業も多く見かけられましたが、都心部を中心に巨大地震などの災害が起これば、すべての業務機能が麻痺しかねない状況であることを多くの企業が認識することとなり、BCP対策としてこうしたVDI方式の端末を導入するところ多くなったといわれています。こうした方式の端末による業務であれば一旦東京から後退して別の場所に暫定的なオフィスを開設してもサーバーとネットワークさえ正常な状況であれば簡単に業務を再開することができ、ほとんどの社員が自宅から業務を継続するといった非常事態時の行動をとることも可能になるのです。こうした4つの大きなメリットからVDIを利用する企業が増えつつある状況が継続しているのです。

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