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携帯電話の国際ローミングは不当に高いーーEUが対策乗り出しへ

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欧州モバイル業界でこのところ話題になっているのが、国際ローミング料金だ。昨年秋より欧州委員会(EC)が不当に高いとしてオペレータ各社に対応を求めているが、先週開催されたEU首脳会議で規制化を決定し、28日には法案に関する発表を行っている。

EUでは統一通貨ユーロに代表されるように、“国境”を意識することが薄くなりつつある。おまけに国土も狭く陸続きであるため、人々がよく移動するEU域内では、不当に高い国際ローミング料金を課すのはどうか、というのがECの意見のよう。これに対し、GSMを普及させた業界団体GSM Association(GSMA)は強い反対意見を示している(もちろん、GSMAには、英Vodafoneをはじめ、ほとんどの欧州オペレータが参加している)。

さて、ECでは昨年10月からローミングに関する市民向けポータルサイトを立ち上げている。実はこのサイトを知らなかったのだが、見てみるとローミングに関する基礎知識を啓蒙するだけでなく、加盟国25カ国のオペレータのローミング料金表、さらには、少しでも料金を下げるアドバイスまである。

私の話をすると、携帯電話はプリペイド式。もともとあまり携帯電話を使う方ではないので、拠点のフランスの外では、仕事ではない限り使うことはほとんどない。先のスペイン・バルセロナ出張では、私の方からはあまり発信しなかった(または、できなかった)にも関わらず、受信にも料金がかかるため、4日間で軽く40ユーロは費やしたと思う。そういえば、少し前にこんなニュースがあった。ーーある英国の消費者が、国外(仏と独)でデータ通信カードを利用してiTunes Music Storeで楽曲を購入、合計約80メガバイト分のファイルダウンロードにかかったローミング料込みの通信費用として769ポンド(約15万3800円!)の請求書が来たというのだ。

032006s国外で電話が必要なときどうするか。私の場合、時間と場所があればSkype Outを利用している。携帯電話はなくても、ノートPCとインターネットさえあれば、Skypeユーザーはもちろん、固定・携帯電話に発信できる。固定の場合は割安だし、Skypeがこんなもの(右の写真:20分SkypeOut無料通話、ヘッドセットをバンドルしたSkypeキット。Skypeも協賛していたブログイベントでゲット)を配っていたりするのでさらに割安感が増す。

つい最近も、フランスのあるオペレータが、20時以降は無制限通話という新料金パッケージを開始するなど、たださえ欧州の携帯電話の通話料金は値下げの方向にある。GSMAが代弁するオペレータの反対意見もよく分かるが、消費者も賢くなっている。Skype搭載携帯電話も登場しているし、UMAサポート電話など、今後は“いかに安く上げるか”の選択肢がさらに増えるだろう。

欧州にはVodafoneに対抗するものとして、Freemoveなどのオペレータ間のアライアンスがあるが、これらがもう少し積極的に活動し、メリットを出すようになれば、当局の態度も軟化するのでは、とも思う。

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