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デジタルコンテンツ流通の潮流を見据えて

DRM進化論第二章、AppleとAmazonのSocialDRM

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音楽業界は常にデジタルコンテンツ・ビジネスの先頭を走っている。いい意味でも悪い意味でも。純粋アナログのLP時代からCD時代に変わってLPは多くの人の予想を覆して数年で市場から消えた。CDの時代がしばらく続いたがここ数年でいわゆるデジタルダウンロード音楽に完全に主役の地位をゆずった。その後市場の2大プレイヤーであるAppleとAmazonは競うように従来のDRMを捨て、いわゆるSocialDRMの方向へ向かった。ユーザーからの利便性に対する要望に応える形で。音楽業界ももう一時期のようにそういった動きに目くじらを立てて騒ぎまくることはなく、ぐっと堪えて新たな収益方法の道を模索している。

これが表面上の動きで、実際にこれらの進化をもたらしたのは世の中にそれこそUbiquitousにそれこそCloudのごとくはびこっているCDからリッピングされた楽曲データの存在だ。私がDRM技術の存在を知ったのは1999年ころNapsterに代表されるファイル共用サービスで音楽が自由かつ無秩序に交換され始めて業界として問題視され始めたたころだ。NapsterはFacebookの創業にも関わって有名な起業家のショーン・パーカー(Sean Parker)等により創業された。P2P技術でMP3の音楽データを共有するというサービスだった。そこで交換される音楽は99%CDからのリッピングであった。ここから音楽業界とIT業界の絶え間ない論争が続くが、本稿ではそこには触れない。とにかく紆余曲折はあったにせよ、CDからリッピングされた音楽データが市場(と呼んでいいのか疑問だが)の大半を占めるようになった。ここ数年、音楽業界も力尽きたのか諦めたのか、あまり声高に叫ばなくなってしまったが、事態はなにも変わっておらず世の中(クラウド)には無数のリッピングされて自由に手に入る音楽データが満ち溢れている。

この時点でもはやCDは音楽愛好家のコレクションアイテムになってしまった。

AppleのSteve JobsがiPodとiTunes music storeを引っさげて音楽業界に劇的に参入してきたのが2003年4月。これから音楽業界は無数の違法なリッピングユーザーだけでなく、大企業が運営する音楽ダウンロードサービスと戦わなければならなくなった。当然DRMをかけることや販売地域を制限することなどを条件として楽曲データを提供することから始まった。iPodの魅力とダウンロードコンテンツの利便性、そしてそれまでアルバムで十数曲を抱き合わせで買わされていたものが一曲づつしかも廉価に買うことができるようになった。それでも音楽業界はダウンロードされるMP3データにDRMをかけることを条件としていた。ここでSteve Jobsの名言が出てくる。

「業界はダウンロードミュージックサービスをCD売上の減少の原因だと言うが、iPodの中にある音楽の90%以上はCDからリッピングされたものだ。音楽業界は自分たちが守ってこれなかった音楽コンテンツを棚にあげてダウンロードミュージックだけに固いDRMを要求するのは見当違いだ。」

これはSteve Jobsの見事な強弁だが、真実でもある。

2008年AmazonがAmazonMP3でDRMフリーの音楽の販売を始めると、2009年3月からAppleはiTunes Plusを始めた。iTunes Plusではデータの圧縮レートを256ビットに上げ高音質にした上でDRMをはずした。しかもAppleは同時に既に購入した楽曲でもiTunes Plusに対応した楽曲であれば0.30ドルの手数料を支払うことでアップグレードできるようにした。ただ、両社とも完全に生のMP3を売っているわけではなく、それぞれ購入時に顧客や購入を特定できる情報を透かしとして埋め込んでいる。これらのデータを使った違法行為の取締が実際にどのように行われているのか知らないが、これらSocialDRMの目的は違法行為の抑止である。

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