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デジタルコンテンツ流通の潮流を見据えて

メディアの電子化はゼロサムでは無い。電子メディアはパッケージメディアの落ち込みを補完できない。

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 音楽、ビデオ、書籍、雑誌、新聞、ジャンルに拘らずメディアの電子化を考えるとき、単に媒体が変わることと捉えると本質を見誤る。電子化されたメディアがどのように広がっていくかがことの本質だ。CD、DVD、紙など物理的にパッケージされていたメディアが電子ファイルになってネットの雲に流されたとたん、それまでとは全く違った世界が始まる。

 上の図は雑誌を例に今後10年の推移を想定したもの。紙媒体の雑誌は急激に売上を減らしている。一方電子雑誌が始まりつつあるがその売上は紙媒体の雑誌の落ち込みを埋めることができない。ビジネスを続けるためにはメディアだけの販売では足りず、その他の商材を加えなければならない。この図では音楽がすでにそのステージに達していることを示している。CDやDVDの販売は減り続け、音楽産業はすでにその軸足をコンサートやイベント、映画やテレビとのタイアップ、物販などに移している。

 出版系メディアにとって音楽メディアのたどった道はよい参考になる。以前、紙系の出版物と音楽は違うと思っていたが、最近のソーシャルメディアの広がりを見ると、出版系メディアも基本的に音楽と同じ道をたどると考えるようになった。電子化された雑誌は急激に広がるだろう。膨大な電子化された雑誌系コンテンツが分解されネット上に溢れる。問題はその中で有料で出版社または著者に収益として還元されるものはそんなに多くないということだ。10年後、2020年の段階で2−3000億円といったところが大方の予想だ。紙媒体の雑誌はもっと落ち込むと思われるので電子雑誌はその落ち込みをカバーすることができない。何が問題なのだろうか?

 音楽の場合、電子化されたコンテンツは無数のファイルとなってクラウド上を漂っている。その量はCDなどにパッケージされていたものに比べて、比較にならない膨大なものになっている。ところが有料で販売されレーベルや作曲家、作詞家、歌手、演奏家に還元される金額は急激に減っている。数十曲がCDにパッケージされ2−3000円で販売されていたものが、一曲当たりの販売単価は数十円になっているだろう。ITunesなどでは100円前後で売られているが、それ以外に月額数百円でダウンロードし放題のサービスなどや無料のサービスも含めると曲当たりの平均単価は落ち続けている。ネット上にはこれら正規のもの以外に違法の取引がいまだに大きな部分を占めていてそれらは当然なんの収益にもなっていない。ネット上を漂う有料無料、正規非正規のコンテンツは膨大な量になっているにも拘らずそこからの収益は非常に限られている。

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