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デジタルコンテンツ流通の潮流を見据えて

本屋で買って、ハガキを返し、電子が届く。「i読」が好評です。

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秋の夜長を自炊について考えた。先週アイドックのDRMソリューションであるbookend(ブックエンド)を利用した出版社向けの読書カード運用代行サービスを発表した。キャッチフレーズは「本屋で買って、ハガキを送り、電子が届く」。紙媒体の本についてくる読者カードにメールアドレスを書いて返送すると、その本の電子版や他の電子コンテンツが受け取れるというものだ。サービスの名前は「i読」、「あいどく」と読む。発表後、出版社だけでなく一般の人たちからの反響が大きくて驚いている。ツイッターやフェースブックで多くの人から賛成の声をいただいた。

アイドックI読サービスページ

自炊や自炊代行といった出版の進化の過程で生まれた徒花(あだばな)を単に悪者扱いして排除しようとするのではなく、その背景を知り根本解決を目指したいと思っている。I読はその始めの一歩。

もともとなぜ自炊という行為が生まれ多くの人が行うようになったのか。昨年のIPADの発売が一番大きいだろう。出版物の電子化は昔からいろいろと行われてきたが、IPADのようなスマートな閲覧手段が無かったために大きな流れにならなかった。アメリカではIPADやKindleの登場と同時にコンテンツの流通も始まっているのでデバイスとコンテンツの間に大きなギャップが無かったが、日本ではデバイスだけが先行してしまい、コンテンツ流通が整備されないため、IPADなどで出版物を読みたい先鋭的(?)ユーザーの一部はしかたなく自炊という手段を選んだ。CDからの音楽のリッピングと同じことだ。だが音楽と違って出版物のリッピング(複製物の作成)は裁断機やスキャナーといった道具が必要であるだけでなくかなりの手間がかかる。また自炊の結果として本が使い物にならなくなってしまうという大きな欠点がある。道具や手間の問題を解決する手段として自炊代行というビジネスが登場したわけだが、本が使い物にならなくなるという欠点は変わらない。

音楽の場合はPCさえあればリッピング行為は非常に簡単であることと元のCDには何ら影響を与えないので、PCにCDドライブがつき、IPODやウオークマンなどの端末が普及すると、あっという間にCDからリッピングして専用端末で聞くという行為が当たり前のことになった。更に、インターネットの普及に伴いリッピングされた音楽データがあらゆる形で流通するようになってしまった。同時にアップルはiTunes Music StoreでCDでパッケージされていた音楽を曲ごとにバラバラにしてダウンロード販売するようになり、ますますCDの販売は急激に落ち込んでいった。

日本の出版社が心配するのはまさにこの音楽で起こったことが出版物にも起こるということだろう。その心配は当然のことなのだが、その対応はいかにも後ろ向きだ。自炊代行業者を脅して廃業させても何の問題解決になっていない。自炊代行業者がスキャンされた出版データを違法に流通させる可能性は著しく低い。音楽の場合と同じでコンテンツを違法サイトに登録するのは個人だ。そして個人を縛ることができないことも音楽業界で実証されてしまっている。

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