インプレスのEPUBマガジン OnDeckを読む。EPUBによる出版の幕開けか!
12月22日にインプレスR&DからOnDeckという名のEPUBフォーマットによる雑誌が創刊された。これまでにもEPUBの雑誌の例はあるが、メジャーな出版社からの定期刊行物としては初めてだろう。内容は基本的には電子書籍、電子出版についての話題と情報発信だ。EPUBなのでページという概念は無いのだが、PDF版も用意されているのでそちらを見ると78ページだ。面白いのはEPUBを読めない環境のためにPDF版を用意してあるということなのだが、その制作方法が普通と違っていて、まずEPUB版を作りそこから簡易的なPDF版を作ったらしい。そのためPDF版といっても全て画像で拡大するとブロックノイズが見られる。あくまでもEPUBで配信する電子雑誌なのであって、PDFは補完的なものだということだ。
内容の中では、創刊号ができるまでというOnDeckのメイキングが担当者によって語られているところが面白い。本格的なEPUBによる雑誌を始めるまでの苦労と試行錯誤が率直に語られていて同様のことを目指している人には大いに参考になるだろう。まずEPUBで作る時に台割をどうするかというところから始まって、画像の扱いをどうするか、SVGなのかJPEGなのか、表組やフォントをどうするかなど、紙の出版をしてきたチームがEPUB出版を始める時にぶつかる問題が具体的に説明されている。
EPUBということでまずはiPadのiBooksやStanzaで読んでみる。両者ともそれなりにこなれたEPUBビュアーなので大きな問題はないが、自分の好みで言うとStanzaの方が自然な感じで好きだ。他にはMacのAdobe Digital Editionで見たが、これはいただけない。なぜPC用の優れたEPUBビュアーを誰も出さないのだろうか?これは疑問だ。Digital EditionはEPUBを表示するだけでなく文字の大きさによって段組表示もするのだが、操作性や全体のデザインなどIOSでのビュアーに比べると格段に見劣りしてしまう。自分では試すことができなかったが、関係者の話ではAndoroid系のEPUBビュアーが一番よかったとのことだ。(ビュアーの名前は失念してしまった。)
今後EPUBとWEBの垣根がどんど低くなりEPUBの表現力が高まってくると、これまでは難しいとされたグラフィカルな雑誌でもEPUBでということが現実化してくると思われる。現在はまだEPUBの表現力が乏しいのでPDFや他の画像にしたり固有のアプリケーションを作ったりということが行われているが、今年一年でここいら辺は大きく変わっていくだろう。アイドックではbookendでEPUBをサポートする予定だ。高付加価値のEPUBコンテンツが出されるようになるとDRMのニーズも高まって来る。
下の画像は上から、Stanza、iBooks、Digital Editionでの表示の様子。