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デジタルコンテンツ流通の潮流を見据えて

待望のロストシンボルが発売。KindleとiPadの違いに改めて注目。

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Picture_2数カ月前から宣伝されていたので、待ちに待ったって感じだ。漸くDan Brownの新作"The Lost Symbol"の日本語版が発売された。待てない僕はKindleでサンプルをダウンロードしてすでに6章の途中まで読んでいた。実際はKindleではなくiPhoneで読む方が多いので写真は紙本の上のKindle for iPhone。Dan Brownの特徴は始めの1頁から事件が起こるので、最初の部分を読んでいるだけで十分にミステリーの醍醐味を味わうことができる。またその分、早く続きが読みたいという欲求も高まってくる。ということで、僕は恐らく他の普通の日本人以上に今日の発売を待ち焦がれていいた。日本語版で確認してみると、Kindleでダウンロードしたサンプルは日本語版の44頁の9行目までであった。結構中途半端なところでサンプルは終わっている。話はすでに佳境に入っているので、途中で切られると渇望感をより増長する。テレビドラマで一番いいところでCMが入るみたいなものだ。今回の日本語訳は上下巻に分かれていて上巻が350頁あるので、上下で700頁だとすると(今日は荷物になるので上巻しか買わなかった)6%強をサンプルとして無償ダウンロードさせていることになる。6%というと少ないように思われるが、実際には44頁分で十分に立ち読み以上の情報を読者に与えている。本屋で立ち読みしても44頁というのはかなり勇気と時間と体力を必要とする行為だ。

あまり語られることが無いのだが、これがまさにAmazonがKindleで行っている隠れた(別に隠れてはいないのだが)マーケティング効果だ。立ち読み以上の興奮をネットを使い多くの購買候補者に無償で配り紙媒体の販売につなげている。僕はこれが電子書籍の最大の役割だと思っている。電子書籍を商品として売ることも意味あることだが、それ以上に紙媒体のPR媒体としての効果が重要な意味を持っている。本のPRというのは今でも基本的には書店に商品を並べて選んでもらうという非常に原始的な方法が主流だ。これだけ情報技術が発達した今でも何も変わっていない。これまでのAmazonなどのネット書店でも基本は同じでサイトに訪れた人がRecommendやBook Reviewを頼りに本を選ぶ。簡単な中身を見れる仕組みもあるが非常に限定的であまり参考にはならない。よく聞く話は、(実際僕の例でもあるが)街の書店で本を探して家に帰ってからAmazonで買うと言う人は多い。つまりこれまでのAmazonのサイトではリアルの書店での本を探したり立ち読みする経験を上回ることができていなかった。そこでKindleが生まれた。人はどこにいてもすぐに興味のある本のサンプルまたは全体をダウンロードしてすぐに読み始めることができる。それは立ち読みを超えた刺激を読者に与え、興味を持った多くの人はそのままAmazonで紙媒体の本を購入する。1−2日発想に時間がかかっても構わない、その間はKindleで読み続けることができるから。

この単純な事実を理解すると、Kindle対iPadの戦いも違った見方ができる。iPadでの書籍の販売はそんなに期待できない、何故ならばAppleには紙媒体の本を売るビジネスモデルが無いからだ。そこでむしろ雑誌や新聞といったフロー系のコンテンツの方に重心が置かれるだろう。iPadで書籍のサンプルを見て、Amazonで本を購入するというのはあるだろうが、それではAppleは困ったことになる。

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