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デジタルコンテンツ流通の潮流を見据えて

DRM進化論 出版流通を再定義する(3)日本の出版界は新しい形のガラパゴスになってしまうのか?

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写真上はガラパゴスイグアナ、Wikipediaによるとガラパゴスとは

技術やサービスなどが日本市場で独自の進化を遂げて世界標準から掛け離れてしまう現象のこと
だ。これまでIT系ではPCや携帯、HDテレビ放送などが挙げられる。これまではどちらかというと日本の技術が先行して他の世界とは違った規格を先行させてしまうといった感じがあったが、最近の電子書籍市場の動きを見ているとなんだかこれまでとは違う様子だ。

昨年末から正月にかけてアメリカでは様々な形の電子書籍端末やタブレット端末が発表され、いよいよ電子書籍/雑誌/新聞ビジネスが花咲こうとしている。とかく新しい端末のハード仕様に眼が行きがちだが、本来注目すべきはそれぞれの狙っているビジネスモデルだ。電子ペーパーだろうが液晶だろうが、3GだろうがWiFiだろうが本質では無い。本質は巨大な出版ビジネスの覇権をどこが支配するかということだ。2年前にAmazonがKindleを始めてからすでにアメリカでは書籍や雑誌または新聞の価格の決定権をだれが持つかということが争点になっている。流通において価格決定権はビジネスにおいてそれこそ決定的な意味を持つ。ここに既存書店系、出版社系などの新規参入があり、春にはIT系としてアップルの参戦も予定されている。いつものことながらこのように市場が新しい技術によってダイナミックに変わっていく姿を見ると、アメリカという社会を羨ましく見てしまう。

日本の技術力をもってすれば素晴らしい機能の端末ができるし日本のインターネットは世界有数のブロードバンドを実現している・・・・なのに、日本の出版界は全く動こうとしない。日本の出版業界はあたかもAmazonやAppleが日本上陸を果たして仕組みを作ってくれるのを指を喰わえて待っているかのごとくだ。それはそれで良いのかも知れない。いまさら日本独自の仕組みを作って世界に広める力は無い。問題は電子書籍のフォーマットがePubになろうとしているのに日本語のePubを作るソフトウェア環境がまったく用意できていないことだ。AdobeはIndesignでePub出力をサポートしているのだが欧文対応のみだ。先日日本のAdobeの話を聞く機会があったが、日本語ePubの対応の具体的な予定は無いとのことだった。これまでのガラパゴスは日本が技術的に進化し過ぎて世界の標準と合わなくなったという感じだったが、今回は完全に日本は世界の進化について行けずに取り残された状態だ。このままePubの日本語が出遅れるとKindleなどの海外の電子端末も日本では不完全なものになってしまう。Appleがどういった仕組みで始まるか不明だが電子書籍をやるからにはePubということになるだろう。その時、日本の電子コンテンツが画像ベースのコミックだけというのはいかにも残念である。

Comment(4)

コメント

yu

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ガラパゴスを危惧するのであれば,日本の出版業界が動かない方がいいかもしれませんよ
Amazonなり他なりが事実上の標準になってしまえば,日本だけ独自という可能性が減りますから.

ま,ご指摘のように,アメリカとか英語圏でしか使えないガラパゴス技術になってしまう可能性はあるわけですけどね.

英語圏でしか使い物にならないものを英語圏というガラパゴスで独自に進化したものだと批判しないのが不思議ですな.

なるい

yuさん、コメントありがとうございます。そうですね、現在の日本の出版業界を肯定するのであれば、ガラパゴスでも構わないわけです。アメリカがいい、日本が悪いと言うことではなく、変革を必要とされているビジネスモデルをどうするかということですね。アメリカがガラパゴス?うーーん、それにしては大き過ぎるってことですね。

竹の

マイナー言語である日本語の出版物を商材に、時給850円のアルバイト店員にすら執事並みのサービスを要求する日本人相手に商売してきた企業ですから、ガラパゴス化は致し方ないのでしょう。

米国ふくむ他国文化を基盤にした企業に対抗するには、日本市場を切り捨て、ある種の割り切りを身に着けたほうが良いのかもしれません。
それが日本人消費者のうちの多数を占める層の顧客満足につながるかは別の問題ということで…。

rk

ePubの日本語対応となる拡張は、最小限で結構です。
縦書きは必須ではないし、ルビも必須ではありません。
今ある日本語のHTMLの表示で、何か問題あるでしょうか。
出版界は、あえて些細なことを言い出して、
問題解決を遅らせようとしているだけです。
小説が横組みになったとしても、読めないわけではない。
また、文芸以外の分野であれば、むしろ横組みが望ましい。
新聞は、印刷では縦書きになっているが、
ネットでは既に横組みであり、問題はない。
問題あるのは、日本語の中に中国の簡体字が表示できないことで、
これはUNI-CODEに責任がある。
多言語混在の問題は特殊で別格とすれば、
日本語独自の規格拡張は、なくてもかまわない位である。
単に、SHIFT-JIS等が表示できれば良いだけである。
ePubなど、その程度の対応で充分なのだ。
古い文献の電子化は将来に託そう。急ぐことはない。

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