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デジタルコンテンツ流通の潮流を見据えて

松岡正剛の松丸本舗に行った。もう一人の知の巨人。

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R0010709_6Picture_1知の巨人シリーズ(いつからシリーズに?)第三弾として取り上げるのは松岡正剛だ。松岡はなかなか手強い。正直言ってぼくにはまだよく分からないところが多い。だが、恐るべき読書量ではこれまでの3人に負けていない。長年続けている書評の連作が2006年に「放埓篇」として全8冊の大型本『松岡正剛 千夜千冊』として出版された。全8冊の百科事典のような大型本で10万円近くもするものが1000冊完売したとして話題になった。内容を見ると広範囲にまたがっているものの、哲学、思想といった分野が多くそれが松岡の特徴である。早稲田では革マルの論客だったというだけあって、かなり理屈っぽい論旨を展開する。ある意味で佐藤優と近いところがある。体育会系思想家といったところだ。佐藤の論旨は比較的分かりやすい表現だが、松岡は必要以上に難解な表現を用いてかなり手強い。専ら「編集」というテクニカルな言葉を好んで使い、どんな話も「編集」に持っていこうとする。1987年からは編集工学研究所という株式会社を始め、編集工学という概念を徹底的に追求しようとしている。

編集工学についてはWikipediaから引用させてもらう。

「生涯一編集者」をモットーとする松岡は、生涯を通じて各種編集、プロデュースにかかわる中で「編集術」「編集工学」という独特の発想をつくり出した。これは、体系化された方法の"型"をエクササイズすることによって、情報編集の技術を手軽に修得できるプログラムであり、書籍や映像など編集業務における専門性の強化、ビジネスにおける企画力、教育や人とのコミュニケーションからクリエイティブワークにおける表現力の向上まで、あらゆる分野での応用性を目指している。

その松岡が丸善書店とのプロジェクトとして10月23日から丸の内Oazoにある丸善の4階に松丸本舗という松岡自らデザインしたコーナーを始めた。連日多くの人が駆けつけて売り上げもそれなりに上がっているようだ。迷路状に並べられた本棚は独特の陳列方法が試されている。また作家個人の書棚を再現したり、カテゴリーごとに新旧の書籍が集められていたり、本好きは一度は尋ねたらいい。

これまで取り上げた知の巨人たちを簡単に(乱暴に)まとめると、立花は根っからのジャーナリストでそれ以上でも以下でもない。佐藤はキリスト教思想と自らの体験から学んだ現代政治の本質を説く現代の論客。JJ植草は根っからの趣味人でありながら趣味の対象を徹底的に自分の中に取り込み再構成してみせた。松岡は行動する思想家として編集という方法論を思想の本質として定義しようとしている。

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