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デジタルコンテンツ流通の潮流を見据えて

雑誌が無くなる前に

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前回に引き続き宣伝ネタで申し訳ない。明日から始まるデジタルパブリッシングフェアーに合わせていくつか発表が重なったので紹介をかねて雑誌の将来について考えた。

有力な雑誌がどんどん休刊、廃刊になっていることはもはやニュースにもならない。個人的に好きだった「プレイボーイ」に続いて「エスクアイア」まで休刊になってしまった。読み応えのある特集や海外新刊や映画の紹介などハードな文化的好奇心に響く雑誌だったので大変残念だ。女性誌も栄枯盛衰が激しいが、書店に行くと数えきれない女性誌が並んでいるのに比べて、高品質の男性誌は数が少ない、その中の有力二誌の休刊はあまりにも寂しい。「Leon」はまだ続いているがお世辞にも高品質とは呼べない。「Leon」を飛び出して出来た、そっくりさん雑誌「Zino」はあっという間に消えてしまった。ということで、雑誌の新陳代謝は珍しいことではないが、あきらかに高品質の雑誌が無くなっていく。

なんだか最近のテレビ放送と似ている。番組の入れ替わりが激しくなると同時にその品質が目に見えて粗悪になって来た。年齢の高低に関わらずテレビばなれが起きるのは当たり前だろう。昔悪口で「テレビなんて女子供しか見ないよ」なんて言っていたが、最近は女子供にすら見捨てられて来た。他になす術のない独居老人とかは見ているのだろうか?もうすぐ地デジに全面移行するが、素晴らしい画質で大型画面でテレビが見られる時代になったと思ったら、中身が腐って来たというのはなんとも笑えないジョークだ。

放送局は許認可で守られているので簡単につぶれないのかも知れないが、雑誌はいとも簡単に休刊(廃刊)になってしまう。それをなんとかして再生させられないかと考えて、次のようなサービスを始めた。
定期購読向け電子出版ASPサービス「KeyringECO定期購読」 簡単に言うと出版社がコンテンツをPDFにしてサーバーに登録するだけで、定期購読者へ自動的に最新号が配信されるというサービスだ。もちろんKeyringPDFでDRMがかかっているので出版社は安心して配信ができる。またDRMの特徴を生かして閲覧回数に限らず閲覧行動のログを取って出版社に情報提供することも予定している。

映画や優れたビデオコンテンツはテレビが腐っても配信方法の選択肢があるが、雑誌の場合は紙での出版ができなくなると他に選択肢がない。前回述べたように、ネットのコンテンツとして提供してしまうと収益化が極端に難しいというか、不可能に近い。これをPDFファイルというまとまったコンテンツとして有料配信することで紙での出版に近い形のビジネスモデルにすることができる。

雑誌の電子化というと出版界でも議論が絶えない。せっかく電子化するのだから動画を入れて、音も入れて、リンクも張ってなどなど、新しいコンテンツを作ろうとしてしまう。結果としてHTML、Flash、JavascriptなどWeb技術を駆使したコンテンツになってしまう。これで採算が合うなら文句無いが、実際には制作コスト倒れで長続きしない。私はこうした新しいコンテンツを作るのではなく、既存の紙媒体を想定して作られたコンテンツをできるだけそのまま電子化するべきだと思っている。

詳しくは長くなるので、次回に・・・

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