素人集団がチームになって生まれた「奇跡の営業所」
これ、実話なんですよね・・・・あまりに出来すぎているのでにわかに信じがたいほどですが。
いずれも私が10年ほど前から親しくつきあいのある吉見範一さんの実話をもとに、森川滋之さんが小説化した「奇跡の営業所」の物語です。
それは全国に営業所を持ち、通信サービスを提供しているある会社でのこと。
その営業所の1つに半年だけの約束で雇われ所長として赴任してみたら、そこにいたのは
ふだんはチベットで暮らしているのんびり屋さん
法人営業は嫌だという30代後半のシングルマザー
日本語が怪しい帰国子女の若い女性
外出はしたくないというイケメン
人と話をするのが苦手な元プログラマー
会社の正社員だが営業ではなく人事に詳しい男
起業資金を稼ぎたいという体育会系気質の2人組
・・・・いずれも営業経験のある者はなし。
しかもそのメンバーで目標必達を命ぜられ、達成しなかった場合は営業所は廃止(つまりは全員クビ!)という、それなんて無理ゲー? というシチュエーション。
時期は2000年頃のこと。この種の営業の世界は「売ってくるまで帰ってくるな! 売れない奴はさっさと辞めろ」という、ノルマ至上主義が横行していた時代です。いえ、今でもそうかもしれません。
いかにも営業向きではなさそうに見えるこのメンツで目標を達成できるわけがない・・・・と誰もが思ったであろうその状況で、なんとその雇われ所長は営業所のメンバーをひとつの「チーム」にまとめあげ、目標を達成しただけでなく半年後には全国トップの売上を記録してしまうのです。
そのために彼がしたのは、「それぞれの得意技がつながるように、ちょっとした働きかけを、しかし思い切ってやった」ことでした。
「初心者同然のスタッフの集まりでも、その力を結集すれば『奇跡』を起こすことができる」
そんなことを教えてくれる本です。
「営業」の実話をもとにしたお話しですし、営業テクニック的なことも触れられていますが、それよりも1つの「チーム」が生まれた奇跡の物語として読んで欲しい。そう私は願っています。