東京ポット許可局の先進的な課金形態「USBメモリー方式」
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ネットの有料コンテンツと言えは最近は有名人のメルマガとか、Cakes(ケイクス)のような新しいコンテンツ配信プラットフォームが目立っていますが、「ポッドキャスト」というのも長い間地味に有料化に挑戦してきたネットメディアの一つです。
知らない人もいるかも知れませんが「ポッドキャスト」というのは、簡単に言えばiPodで購読できるラジオのようなものです。ウィキペディアで確認した内容ではもっと広い意味があるようですが、一般的にはそういう理解で良いと思います。
ポッドキャストのほとんどは無料ですが、一部のコンテンツは有料化されており、1話100円とか月額500円とかで販売されています。最近では、番組専用のスマホアプリを作成してポッドキャストを視聴できるようにし、その中で課金を行うスタイルも流行っていたりしますので、課金に関してはかなり先進的なメディアと言えるかも知れません。
バラ売りコンテンツを買う時の抵抗感
東京ポッド許可局では、100回の過去配信を8GBのUSBメモリーにまとめ、10,000円で販売しています。イベントで作成されたグッズの余りみたいですが、それにしてもなかなか面白い販売方法です。
個人的な感覚では一話100円とかのバラ売りコンテンツは何となく買いづらい気がしていて、特に「ボタンをクリックする」という行為を何度もするのは、大げさに言えばちょっとした罪悪感すら感じます。
よく考えてみると、僕の場合のそれは「他に無料のコンテンツはいくらでもあるのに金を払うのか?他の面白そうなコンテンツはちゃんと探したのか?」という問いかけのようなのです。
インターネットは広大なので、どこかに自分が探しきれていない面白い無料コンテンツがある可能性は捨て切れません。しかし、探すための労力もこれまた膨大なので、事実上探すのは不可能だとしても「可能性がある」という事実は残ってしまいます。それが、先般の「探しきったのか?」という問いかけになる。
ネットの課金が難しいのは、この「可能性」というお化けと戦わなければならないからでは無いでしょうか。
まとめる事で競争相手が変わる。
しかし、この無限の可能性と戦わなければならないのはコンテンツがバラ売りだからです。バラ売りのコンテンツは所詮は「消費のためのコンテンツ」。暇つぶしのためのコンテンツに人はお金を使いたがりません。
しかし、これが「コレクションのためのコンテンツ」になると話は別です。例えば、先程の東京ポッド許可局の例のようにUSBメモリーにまとまったコンテンツを入れる事で、途端にTV番組のDVDをコレクションしているような感覚が生まれる。そうすればネットコンテンツと言えども、他の無料コンテンツとは全く異なるステージで戦うことができるようになります。
この手法は「消費のためのコンテンツ」でお客を集めてファンを作り、そうして出来たファン層に「コレクションのためのコンテンツ」を売るという方式で、昔から当たり前のように行われている事ですが、ポッドキャストでは定期購読はあっても、配信をまとめた「モノ」をコレクションアイテムとして販売するという方式は、これまで無かったように思います。それが、僕が面白いと感じたところなのでしょう。
実際にはDVD等との価格的な競争力を考えて、30話2980円くらいにするとか、パッケージングをもっとカッコよくするとか色々な検討が必要かと思いますが、コアなファン層の多いポッドキャストの性質から考えれば、コンテンツの販売方法の一つとしてもっと試されて良いものと思います。
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