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選択と集中の誤り

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「選択と集中」というキーワードが日本で流行したのは、おそらく10年くらい前ではないでしょうか。景気の停滞に対して、まずは少数の競争力の強い分野である、コアコンピタンスを選択して、そこに対して経営資源を集中的に投入するという戦略でした。
しかしその後、選択と集中を行い、企業のコアコンピタンスにフォーカスした会社がどうなかったかというと、多くは実はうまく言ってない、どちらかというと失敗している気がします。

10年前に、企業が経営資源の集中を行う事を意思決定したコアビジネスは、多くの場合成熟したゼロサム市場でした。ある会社が売上を伸ばせば、ある会社は売上を減らす、需要の総量が決まった市場です。従って例えば韓国の新興企業が売上を伸ばせば、日本企業は売上を落としてしまいます。実はコアビジネスへの集中と選択は、非常にリスキーな選択だと思います。本当に求められるのは、「集中と選択」ではないでしょうか。有望な新規ビジネスのいくつかに対して経営資源を集中して、次に事業を選択する。ステージゲート的なアプローチです。

企業 ITは膨大なコストを消費しつつも、コストに見合うリターンが見えないと、常々ビジネスサイドからは言われて来ました。これは、多くの IT予算や人員は既存の事業や業務のために利用されているからです。さらに生産性向上の名の元に、コアビジネスの既存のプロセスの変革や、インフォメーションワーカーの ITに対して、投資を行なってきました。しかしゼロサム事業の ITや人員に追加投資をおこなって生産性を向上させたとしても、マクロ的にはリターンは極めて限定的です。

企業はコアビジネスへの投資よりも、新規ビジネスへ重点的に投資を行うべきだと思います。そして IT部門も企業戦略に基づき、新規ビジネスにフォーカスしたIT投資ポートフォリオを策定すべきです。

企業の生命線である業務システム、セキュリティ、バックアップシステムによる災害対策。これらインフラへの投資は決して惜しむべきではありません。これらはビジネス継続の根幹です。しかし所謂生産性向上系の投資。 タブレット、モバイル、ポータル、情報系などは、プライオリティを下げる必要があると思います。そしてそのコストを利用して投資すべき分野は、新規事業です。

この、インフラ系、生産性向上系、新規ビジネス系の投資の比率は、現状ではおそらく、 6:3 :1くらいではないでしょうか。そして景気の後退で一番最初に削られるのはおそらく新規ビジネス系です。可能であればこの比率を、 6:1 :3程度にまで持っていくべきだと思います。これらの大枠をまず明確にして IT投資ポートフォリオを組む事が重要だと思います。

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