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ある時はコンピュータの製品企画担当者、またある時は?

最近見つけた機内の過ごし方

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今年も相変わらずの全国行脚を続けている。営業からのサポートを依頼されたり、各地でセミナーなどが催されたりして声がかかれば、スケジュールを調整できる限り極力対応するように務めている。当然事前に資料を作成するなどして準備するわけであるが、後で再利用できるように、テーマと内容と説明時間を逐一記録してあるために、行脚の記録は一目瞭然である。今のところ平均すると月に10回くらいはどこかで何かについて、一席ぶっている計算である。大分以前にも書いたとおり、僕はどちらかというと飛行機嫌いなので遠出であっても列車での移動を心がけているのであるが、遠方ともなるとどうしても自分の好き嫌いに固執するわけにもいかない。そういう時は止むを得ず飛行機を使うことになる。

飛行機だと座席が狭いし使用できる時間が制限されるので、あまりPCを使おうという気にならない。何とか作業を行なおうとしたところで、揺れたりすると目が疲れて逆に気分が悪くなる。あまりに揺れが激しいとPCどころではなくなって、冷や汗をかいて肘掛にしがみついているような有様である。イヤホンを耳にあてて放送を聴こうとしても、僕の好きなジャズを流しているケースは国内線ではまずない。仕方なくこれまでは結局ぼんやりとしているしかなかったのであるが、最近は何故か落語を聴いている。これが結構イケルことを発見したのである。

落語については好きとか嫌いとかいうのはなくて、単に興味が無かったので聴く機会を持たなかったに過ぎないのであるが、実は結構機内放送向けではないかと思ったりする。音楽だと音の強弱があったりすると時に騒音にかき消されてしまうけれど、人の話す声の強弱の範囲はそれ程のことはないので聴き取りやすい。そして閉塞感のある機内で面白い話を聴くのはよい気晴らしになる。

僕には有名な話とか落語家についての知識は皆無なので、どんな内容の出し物であれ先入観なく聴いている。どれを聴いてもさすがプロということなのだろうか、言い間違えたり澱んだりすることが全くないままに、同時に2~3人の声色や言葉遣いを使い分けて演じるのは見事としか言いようがない。こっちはたったの一人分でしかないのに関わらず、プレゼンの場ではつかえたり言い直したりするのに。落語の技術はもしかしたらプレゼンにも応用できそうだなとは感じるのだが、今のところは無理せずに、とりあえず鑑賞するに留めている。

機内で落語を聴く際の欠点は、一人で笑っていると周囲から変な目で見られてしまうかもしれない点である。変人に見られたくないのでなるべくムスッとしたままで聴いているのであるが、こらえることができずに思わず涙を流してしまったことがある。そして話が面白ければ、同じ内容のものを、行きと帰りの両方の便の中で繰り返して聴いたりもする。おかげで最近は機内で退屈することがないのである。

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