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ある時はコンピュータの製品企画担当者、またある時は?

PCは家電か

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ふと指折り数えてみると、過去10数年の間に洗濯機はコントローラ部分を2度取り替えた。家電のカテゴリには入らないが、湯沸かし器のコントローラは、3度の交換を数えているばかりでなく、交換後のコントローラの配線ミスというおまけがついた。掃除機本体は問題ないのに、ホースが破れて3台目になる。ガムテープで何とかしようとしたところで、あのでこぼこでぐにゃぐにゃしたホースにできた穴を長期的に密閉することはできなかったし、何より見栄えの悪さが不評だった。コーヒーメーカーに至っては、ガラスの容器を何度破損したことか。これはこちらの取り扱いミスだから仕方ないのだけれど、食器洗いの最中に、ちょっと手を滑らせて陶器の皿を落とした位で割れるなよと言いたい。一方冷蔵庫、電子レンジ、テレビ、は何事もなく元気である。ついでながら交換するのに多大な労力がかかるので、奥さんが丈夫でいてくれるのは助かる。家電と同列に書くべきではないけどね。

そして10年近くにもなるデスクトップPCも、過去2度ほど内蔵のバッテリーを交換したが、目立った障害に会うことなくヨタヨタと稼動を続けている。このご時世で1.6GHz Pentium4、256MBメモリ、80GBディスクを装備したWindows2000搭載機である。スペックとしては骨董品的かもしれないが、スピード、特に電源立ち上げ時のブート完了まで10分近くかかる事に多大な忍耐を強いられる他には大きな欠点はない。いやこれだけでも致命的と感じる方もいるかもしれないが、スピードは習慣である。速いのに慣れればそれが当たり前だし、遅いのだってそんなものだと思えば何とかなる。電源を入れるや否や直ちに使おうとするからいけないのだ。そろそろ使おうかなと思ったら、10分前にスイッチを入れておけば良いだけのことだ。後はたまにわけのわからないエラー・メッセージを吐くので、適宜無視すれば済む。一方で電器屋に出かけて陳列されている最新PCを見ると、テレビやオーディオ機器との境界を曖昧にするような機能を標準搭載している機種も珍しくないようだ。PCは今や家族皆で使える電器器具だなと実感するのだが、いわゆる「家電」という技術的にこなれたイメージを持つ機器類の仲間入りをする領域には未だ達していないように思われるのである。

確かに機能は家電的である。極端な比較かもしれないが、例えば冷蔵庫と比べてみると良い。利用するにあたってかなりの量の前提知識を必要とするし、障害とまで行かなくてもわけのわからない挙動をする頻度ははるかに高い。いつものプログラムをいつものように動かそうとしているのだけれど、何故か動作しなかったりするので、ブートをやり直す事がある。そんな経験があるのは僕だけではないだろう。それでも何とかどうにか大騒ぎすることなくPCを使っている。僕らは不安定であることに慣れてしまっているのかもしれない。不安定でも何とか対処する術を持っている事をスキルと称しているのだろう。

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