EM・ONEを入手した話
わけあってSystem i 用の周辺機器やアプリケーションを開発・販売しているHITという会社から、イー・モバイル社のEM・ONEを借り受けた。OSとしてWindows 6を搭載している携帯端末、いわゆるPDAである。HITはこの端末上で稼動するSystem i接続用アプリケーションを開発しており、僕はその実験台、兼実機を持ち歩く口コミ宣伝要員としてノミネートされたようなものだ。
まだ借用し始めて一週間もたたないが、なかなかよくできた機械だと思ったので、いくつか印象に残った点を書いてみたい。ちなみにこの場で宣伝するよう依頼されたわけでも、その義務もなく、僕が勝手に自発的に書こうと思い立ったに過ぎないので念のため。
とうとう小型化もここまで来たかと思ったのは、6万5千色800 x 480ドットVGA画面がワイシャツの胸ポケットに収まることである。画面全体を視野に入れようとすると、字がかなり細かくなるのだが、バックライトの輝度を高めに設定しておけば、使用に差し支えることはない。サーバーの端末として申し分ないし、ホームページを表示させても不自由することがない。
高速なデータ通信ができることも重要な要素であろう。スペックによると下りの最大速度3.6Mbpsとのことなので、この手の端末においては最高速の部類に入るのではないだろうか。ただイメージを多く含んだホームページを表示させようとすると、少々もたつきが出るようだ。グラフィックス・チップの性能上の限界なのかもしれない。
キーボードも小さいながらもQWERTYタイプである。要するに、普通の配列のキーである。出来としてはまあまあといったところであるが、ポインティング・デバイスをうまく使いこなせない。平べったいレバーをスライドさせれば、画面上のポインターを自在に動かせるはずなのだろうが、ポインターのスピードとレバーへの力加減と、タイミングを合わせることが難しい。小さなラジオボタンにぴたりと矢印の先端を重ね合わせるには、何度か試行錯誤が必要である。慣れてしまえば大した事ではないのかもしれないが。
全般的にはデータの入出力系の機能については技術の最先端を行っていると言えそうだ。一方で他のキャリアに比べて後発である分、サービスエリアが限られる点は、明らかなハンディキャップであろう。例えば東京メトロ地下鉄ホームからでも携帯電話は使用可能であるが、EM・ONEは圏外であった。東海道新幹線沿いに見ると、圏外となる地域がそこかしこにある。あと、バッテリーの持ち時間が短いような気がする。まだ手に入れてわずかな時間しか経過していないために、どうしてもあれこれと触ってしまいたくなるためか(特にワンセグのTVなど見ようものなら)、フル充電しても丸二日と持つことはない。物珍しさが薄れてくれば、もう少し長持ちするようになるのかもしれない。しかしながら、こういった短所を補って余りある面白さを感じさせるあたりは、さすがシャープの面目躍如と言うと言い過ぎかな。