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読書感想文を上から目線で書いてみる。

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斉藤孝さんの「誰も教えてくれない人を動かす文章力」を読みました。おぉ!そうか!と面白かったのは、読書感想文を上から目線で書くという話。
 
「ここが面白いと思いました」というひれ伏した感じではなく、「この言葉が私をインスパイアしてくれました」という感じをだすのです。いや、もっと偉そうに「この私をここまでその気にさせてくれた。それだけに、この物語はなかなか大したものだ」とあくまで「上から目線」の姿勢で臨みましょう。読書エッセイを書くときには、それくらい大きな態度でいいのです。いくら高名な著者だからといって、著者にひれ伏してしまったら面白い感想文は書けません。
 
小学校の頃から書かされている読書感想文。私は読書感想文のたびに、イヤイヤ書いてて、小学生ながらも、「なんてつまらない文章なんだろう」と思っていました。最初にあらすじを書いて、最後にちょろっと、かわいそうと思っただの、素晴らしいと思っただの、浅い感想を付け足す程度。
もはや、あらすじを理解するだけで精いっぱいの脳ミソだったのか、考える方法を知らなかったのか、両方だと思いますが、「なんてつまらない読書感想文なんだろう」とまでは理解できるのだから、齊藤先生のように書く考え方を教えてもらえたら、もうちょっと面白く書けていたかもしれない。
 
そして、大人になった今では、こうしてブログで読書感想文を書くことがあります(しかも、自ら!)。子供頃と違って、自分の考えを書けるようにはなってはいますが、「人を動かす文章術」を読んで、私は今でも齊藤先生のいう、「ひれ伏し姿勢」満載だなと思ったのです。きっと、「読書感想文=作者にひれ伏す」という「型」が出来上がってしまっているために、「考え」自体もひれ伏してしまうのだと思いました。考えを変えるには、「型」を変える事が大切です。
 
というわけで、試しに「人を動かす文章術」を上から目線でとらえてみました。
 
「人を動かす文章術」は、文章を書く時の背後にある考え方、そして具体的な書き方について書かれています。具体的な書き方は、ビジネスマン向けの項目と学生向けの項目に分かれているのですが、先生は大学の先生をやっているだけあって、さすがに学生向けの箇所は、深くて、具体的で、なるほど!と膝をたたくほど面白い。反対に、ビジネスマン向けのところは、学生向けのところと比べて深さがありません。編集者がビジネスマンにも売りたいがために、無理やりビジネス文書の話もねじ込んだのではないか?と邪推してしまいます。そこだけ、非常にもったいない。
 
と、ここまで書いたところで、上から目線で書く難しさに気が付きました。上から目線で書こうとすると、ダメなところ探しをしてしまう。上から目線で書くって、別に悪いところ探しではないはず。慣れるまで、なかなか難しいのでしょう。ただ、面白そうなので、これから読書感想文を書く時は「上から目線」という「型」で書いてみようと思います。先生いわく、太宰治やトルストイにも上から目線で臨め!とのこと(ただし、愛を持った上から目線だそう)。
 
「声に出して読みたい日本語」「三色ボールペンで読む日本語」といい、齊藤先生の本はこれを実行すると何か素晴らしいことが起きる感じがする!というワクワク感があります。このワクワク感を得られる本は、そんなにありません。齊藤先生の本が売れるのは、このワクワク感があるからだと思います。次は、そのワクワク感の出し方を教えてもらいたい!
 
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