モノを大切にする新しいムーブメント
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針供養という行事を聞いたことありますか?
私が通っていた女子高では、裁縫の授業が年に何回かあり、その授業の中で針供養という行事がありました。なにをするかというと、なんと、針を豆腐に指すのです。
いつも固いものばかり指している針に「いつもありがとう」という労いの意味を込めて、その日だけは柔らかいものに指してあげようという行事でした。
驚きませんか?これ。
高校生だった当時は、「なんで針なんかを労ってあげる必要があるんだ?」と意味が分からなかったのですが、大人になった今は日本人らしい「モノを大切にする」精神を表している、とても深い行事だと思っています。
「断捨離」がもうずっと流行っていますが、何十年も続いた消費生活に疲れた人が多く、日本人の「モノを大切に扱いたい」欲求がムクムクと日本全体で大きくなっている感じがします。
いま、銀座松屋で開催されている「銀座目利き百貨街2」では、HPでこう言っています
「きれいに足並みを揃える「製品」然としたものよりも、個人の眼を通して選ばれた不揃いながらゴツゴツと手応えのあるものを見たい。評価の定まったものよりも、選者の視点の独自性を尊重し、さらに自分の眼をくぐらせて価値を判定したい。」
オプトで展開している、一点物にこだわったECマーケットプレイス”DAN-TE”のキャッチコピーは、「手作り一点物のこだわりと、あなたの好奇心が出会う。」
新しいコンセプトのリサイクルショップである PASS THE BATON のコンセプトは
「企業ごとのプロダクトの違いは価値であり、しかし過剰な競争の種でもある。
その争いの結果、物は過剰に溢れたり、過剰の消失し、社会にも地球にも負担をかけてきた。ならば、国や企業を超えて、個人の文化の違いに価値を見出してはどうだろうか。それぞれ培った個人の文化を御他がいに尊重しあい、交換しあう。
新しいものを創造するのもよいし、既にあるものを大事にするのもよい。」
この3つのコンセプトの背景には、簡単に選んですぐに捨てるような生活ではなく、「自分に合う誠実なモノをじっくり探し、それを大切に使う」ことを見直すムーブメントがあるように思います。
イタリアで起きたルネッサンスも、イギリスで起きた産業革命も、当時はそう呼んでいなかった。あとで、そのような変化があった期間に対して名前をつけただけなのです。今の日本のこのムーブメントもあとで何か名前がつくのではないでしょうか。
そして、作り手側にはより一層の誠実さが求められる。
10年後は、全く違う生活になっているかもしれません。
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