オルタナティブ・ブログ > 山田智恵のビジネスアナトミー >

ビジネスや世の中の流れの分析。ときどき手帳の話など。

発言を促すにはどうしたらいいか?

»
 
「話さない者は無に等しい」
 
ハーバードで行われるソクラテス方式(講義ではなく、教員と学生との闊達な対話で進められる授業形式)の授業では、このように言われるようです。マイケルサンデル教授の授業風景もyoutubeでみれますが、大人数の中で、教授に対して意見を言うのは、ものすごい緊張感があります。
 
私は前に「ケースメソッド教授法」という授業を受けたことがあります。ケースメソッドとは、参加者は、まず現実の企業経営の実態をもとにして作成された教材(ケース)を読み込みます。ケースには、経営者、管理者が判断し決定すべき当面の問題に関連する周囲の状況や意見などが記述されています。そのケースをもとにディスカッションし、多数の意見を聞いたり、自分の意見をまとめたりすることで、課題発見力や判断力を養います。そのケースメソッドでのディスカッションリードをどうやるのかを教えてくれる授業でした。
 
そこで最初の方に教えてもらったのは、日本の場合は大勢の人の前で意見を言うことに慣れていないから、まずは意見を促す雰囲気を作り出すことが重要だということでした。ディスカッション形式の授業なので、誰も発言しないと授業が成り立たないのです。
では、その雰囲気というのは、結局ディスカッションリーダーの気持ちから作り出されるとのこと。人間は頭の良し悪しや、感覚の鋭さに関係なく、「自分が尊重されているかどうか」を誰でも感じ取る動物です。だから、ディスカッションリーダーが全ての人の発言を尊重する気持ちを持って接していれば、自然と発言する人が多くなってくるという話でした。
 
ブレインストーミングでは、否定せず時間で区切って意見を出しきるというルールがあります。このルールがあるから、安心して意見が出せる。いつもの会議でも多くの人に発言を促したい場面では、「あなたの意見を尊重しますよ」という雰囲気を早めに伝えて安心できれば、もっと多くの人の意見が引き出せるかもしれません。
 
Comment(0)