オルタナティブ・ブログ > 『ビジネス2.0』の視点 >

ICT、クラウドコンピューティングをビジネスそして日本の力に!

ムーンショット目標、追加された目標10はフージョンエネルギー

»

内閣府は2023年12月26日、「総合科学技術・イノベーション会議(第70回)」を開催し、ムーンショット型研究開発制度の目標設定などについて、議論・検討が行われており、ムーンショット型の研究開発の10番目の目標が設定されました。

今回は、ムーンショット型研究開発制度の概要と目標、そして、目標10のフュージョンエネルギーについて解説したいと思います。

ムーンショット型研究開発制度の概要は、超高齢化社会や地球温暖化などの重要な社会課題に対し、人々を魅了する野心的な目標(ムーンショット目標)を国が設定し、挑戦的な研究を推進する制度です。

目標は、「Human Well-being(人々の幸福)」を目指し、その基盤となる社会・環境・経済の諸課題を解決すべく、9つのムーンショット目標に加え、一つ新たな目標を設定しています。

スクリーンショット 2024-01-06 134647.png

出典:総合科学技術・イノベーション会議(第70回) 2023.12.26

ムーンショット目標10については以下のとおりです。

<ムーンショット目標10>

2050年までに、フュージョンエネルギーの多面的な活用により、地球環境と調和し、資源制約から解き放たれた活力ある社会を実現

<ターゲット>
• 2050年までに、様々な場面でフュージョンエネルギーが実装された社会システムを実現する。
• 2035年までに、電気エネルギーに限らない、多様なエネルギー源としての活用を実証する。
• 2035年までに、エネルギー源としての活用に加えて、核融合反応で生成される粒子の利用や要素技術等の多角的利用により、フュージョンエネルギーの応用を実証する。

スクリーンショット 2024-01-06 134804.png

出典:総合科学技術・イノベーション会議(第70回) 2023.12.26

<目標設定の背景>

• フュージョンエネルギーとは、軽い原子核同士が融合して別の原子核に変わる際に放出されるエネルギーであり、太陽や星を輝かせるエネルギーでもある。フュージョンエネルギーは、カーボンニュートラル、豊富な燃料、固有の安全性、環境保全性という特徴を有することから、エネルギー問題と地球環境問題を同時に解決する次世代のエネルギーとして期待されている。
• また、フュージョンエネルギーは、我が国が目指すべき未来社会の姿として提唱されているSociety 5.0を支える基盤となるだけでなく、地球規模で人類の持続可能な発展を可能とし、人類社会に我が国が大きく貢献できる科学技術である。
• フュージョンエネルギー・イノベーション戦略に基づき、「ゲームチェンジャーとなりうる小型化・高度化等をはじめとする独創的な新興技術の支援策を強化」して、フュージョンテクノロジーの幅を持たせるため、現在、建設中の実験炉ITERから原型炉そして実用炉と段階的にフォーキャスト的なアプローチに加え、フュージョンエネルギーが実現した未来社会からのバックキャスト的なアプローチによる挑戦的な研究の支援を強化することが必要である。

<ムーンショットが目指す社会>

・ 資源制約の克服への貢献
海水中に豊富にある資源から地上の太陽2を生み出し、エネルギー資源の偏在性から生じる紛争や飢餓が消失する。
・ エネルギー問題の解決への貢献
安定的で豊富なフュージョンエネルギーを活用し、我が国のエネルギー安全保障に貢献する。
・ 人類の挑戦への貢献
小型動力源として活用し、宇宙探査・海洋探査等の未知な領域への挑戦を可能とする。
・ 脱炭素社会の実現への貢献
安全・安心のフュージョンエネルギーシステムを実現し、幅広い産業や一般家庭の炭素排出量を抜本的に改善する。
・ 環境問題の解決への貢献
大気中の二酸化炭素から合成燃料を製造することで、産業革命以来の悪循環を好転させる。
・ 技術による課題解決への貢献
我が国から輩出されたスタートアップが、世界の課題解決や技術開発を牽引する。

Comment(0)