モノのインターネットを電力ネットワークの歴史的登場に例えた英国のマット・ウエッブ氏の思想(欧米では常識)
モノのインターネットが歴史的に第三次産業革命を生み出し、経済成長を引き上げる可能性があると言う議論が一般化し始めています。GEの産業インターネットなどが典型です。しかし日本で紹介されていないのは、「電力ネットワークに車以外の多くのモノが繋がって工業社会を生み出した」ように「インターネットに万物が繋がって例えばスマート工業社会(コネクト社会)を生み出す」と言った議論やモノの見方です。これは英国のモノのインターネットのコンサルタント企業バージクラウドCEOのマット・ウエッブさんが最初に述べた見方です。2013年10月のクリエーティブ・モーニング・ロンドンでの基調講演で彼が述べた内容は新しい歴史の見方として一挙に欧米に広まりました。
「全てのモノがインターネットに接続されて行くさまは、まるで19世紀末にモノが電力ネットワークに吸収されて言ったプロセスにそっくり」です。電球や蓄音機、映画、電話などの発明後、エジソンは電力の供給に悩み、全てのモノが繋ぎ込める電力ネットワークの必要性を痛感しました。そして1882年ニューヨークで最初の電力ネットワーク事業を立ち上げました。そしてマット・ウエッブ氏は、「21世紀の我々も発明王エジソンがぶつかった多くの課題に再度ぶつかる」と述べています。
エジソンの立ち上げた会社は現在、産業インターネットを提唱している米国GEへと発展しています。電力ネットワーク事業の歴史を背景としたGEの主張故に米国政府は年間一億ドルの投資と産業インターネットコンソーシアム(IBM、シスコ、GE、AT&T、インテルが幹事)の創設の音頭取りに動きました。IBMのスマータープラネット、シスコのスマートコミュニティ、GEの産業インターネットなどの構想を全て取り入れて米国は標準化に動き出しました。
モノのインターネット時代の地平から歴史を振り返ると発明王エジソンの再評価と大量生産・大量消費を支えた工業社会を越える新しいネットワークの誕生の可能性が見えて来ます。こう言った歴史的見方が日本のICT産業には欠けています。2012年の家電崩壊を乗り越える一つのヒントでしょう。
BI(ビジネスインサイダー)制作のモノのインターネットの最新スライド
THE INTERNET OF EVERYTHING: 2014 [SLIDE DECK] 全スライド64枚
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マット・ウエッブ氏
スマート機器のAPIとクラウド側のAPIの重要性を主張するバージクラウド社
<出所 http://bergcloud.com/overview>
モノのインターネットを推進するクリエイティブモーニング会議
<出所:バージクラウド>