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テレビのデジタル化がドライビングフォースとなり、全ての情報メディアが一旦、収縮する時代の羅針盤

スマート革命と動画圧縮、インターネットのHECVと4K、8Kテレビ新時代は到来するのか?

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<序文>

 CES2013で4Kと称される次世代のウルトラ・ハイデフィニション(UHD、Ultra-High Difinition TV(UHDTV)放送)のデジタル・テレビ製品が発表されて以来、筆者もスマートテレビの講演を頼まれる都度、4K放送(4K×2K3840×2160)画素の映像)、8K放送(4K×2K 8/7,680×4,320の画素の映像)時代とスマートテレビの今後の関係の質問が必ず出ます。

 

そこでこのブログでは4K(ウルトラ・ハイデフィニション(UHD))と動画圧縮技術であるHECVの関係について取り上げます。(8K(スーパー・ハイデフィニション(SHD)は話がややこしくなるのでちょっと横に置いておきます)

 

無論、4K、8Kテレビの実現、更には4K、8K動画を前提としたスマートテレビの実現は、必ずしも動画圧縮技術だけで解決するものでは無く、一秒あたりのコマ送りの数(フレーム周波数やフレームレートと言う)、放送波の帯域幅やブロードバンド回線やワイアレス回線の速度に大きく依存します。また受信側のスマートデバイス機器のビデオカードのパワーやディスプレイの解像度、業務用の機器の買い替えも影響します。無論、ソフトウエアも書きなおしが必要です。しかし話を単純にする為にちょっと乱暴ですが、動画圧縮技術であるHECV中心に話を絞りたいと思います。

 

それにスマートテレビが如何に絡んでくるのでしょうか?

 

★★4Kテレビ放送、来夏開始 総務省方針「8K」も2年前倒し

 

引用

4K放送では大量の映像データを電送する必要があるため、まず電波帯域に余裕の多い衛星放送のCSで始め、BS、地上波と順次拡大する見通し。

引用終わり

★★ 2020年に8Kスーパーハイビジョン本格放送開始へ

 

★★麻倉怜士の2013 CESリポート Vol.29 オリジナル4K×2Kコンテンツのリアリティ

 

★★4K映像を家庭へ LGは地上放送、サムスンはVOD

 

★★ 超高画質テレビ、近づく実用化 「4K」来年にも放送開始、五輪でPR

 

★★ ITU、次世代コーデックのHEVC/H.265を承認

 

★★ 4Kの動画再生に必要なスペックについて

★★Why HEVC Is Coming Faster Than You Think

 

★★HEVC (H.265) Adoption Is At Least Five Years Away For Consumer Content Services

★★スカパー、H.264移行や4K放送実現への取り組みを説明

 

★★ スカパーが4K映像ライブ伝送実験。映画館で体験した

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NHKの4K動画 INK DROPS 4K (ULTRA HD)

 

http://www.youtube.com/watch?feature=player_embedded&v=k_okcNVZqqI


 

 

<4K更には8K放送とオリンピックの関係>

 

 1936年のベルリン・オリンピックにテレビ放送開始を間に合わせた当時のナチス・ドイツは、国威発揚の為にテレビと組み合わせてオリンピックを利用しました。以来、オリンピックなどの大型スポーツイベントとテレビ新技術の普及の関係は「切っても切れない縁」となっています。

 

思えばカラーテレビの普及には東京オリンピックが活用されました。

 

さてドイツは20102月、欧州のスマートテレビの欧州標準であるHbbTVのサービス開始をバンクーバー・オリンピックに間に合わせました。20127月には英国のロンドンオリンピックに英国標準YouViewのスマートテレビサービス開始が間に合いました。

 

4Kや8Kのサービス開始に関しても同様の動きが計画されています。

そしてオリンピックやワールドカップのスケジュールと対応したで4Kや8Kの放送、そしてインターネット上での動画提供の流れが決まり始めています。

 

まず韓国は2012年から欧州のデジタル放送規格(DVB-T2LG)を使って公共放送のKBSとサムスンが試験放送を開始しています。本放送の開始の目途はやはり2018年の平昌冬季オリンピック(ピョンチャンオリンピック)を考えていると報じられています。

 

またフランスでもサムスンと通信キャリアのオレンジが韓国サムスンと組んでUHD=4Kテレビの実質的な必要条件と考えられるHECVの実験放送を開始し、将来的には4K放送を実施する予定のようです。HbbTVの開始を2011年のフレンチオープン・テニスに合わせたフランスの事ですから、4K放送にはグローバルな競技イベントを考えていると思われます。

 

日本でも総務省が「放送サービスの高度化に関する検討会」などの検討結果を踏まえて、以下のようなスケジュールで検討が進められていると報じられています。2014年夏から試験放送を開始すると報じられています。東芝やソニーが既に4Kテレビを開発しています。

 

1、2014年リオデジャネイロのワールドカップ( W杯) 4Kを体験できる環境整備

2、2016年 リオデジャネイロ・オリンピック  8Kを体験できる環境整備

3、2020年 東京オリンピック(仮定) 4K/8K双方に対応したテレビの普及

 

衛星放送のスカパーはスカパー! プレミアムサービスにおけるMPEG-2の標準画質放送を2014531日に終了し、MPEG-4 AVC/H.264(動画圧縮はMPEG-22倍) に移行します。2014年のリオデジャネイロのワールドカップを目標に4K放送を試験導入したい意向のようです。

 

<動画圧縮技術の進歩を加速する4Kなどの動き>

 

 一方2013125日、国際電気通信連合(ITU―T)において従来のMpeg2Mpeg(H.264)に代わる新たな動画圧縮規格であるHECVH.265が承認され国際的な標準規格となりました。HECVH.265MPEG-24倍、MPEG-4 AVC/H.2642倍の動画圧縮が可能となります。4KなどのUltra-High Difinition TV(UHDTV)放送やモバイルデバイス向けの高圧縮配信などでの利用を想定したものと報じられています。

 

4Kテレビの議論を待たなくてもMPEG-2MPEG-4に対する動画圧縮技術進歩の必要性は、インターネットの活用に当たって早くから指摘されていました。例えば2年前、米国においてインターネットのプライム時間帯の利用の3割をネットフリックスなどが占始めたと報じられるなどネット動画の割合がどんどん増える為、帯域の高速化と同時に新たな動画圧縮技術が当然の如く求められていました。(この辺りはインターネット対応機器のアドレスの増加に対処する為のIPv4IPv6の議論に似ています)

 

それを加速したのが放送の画質進歩から来る4K、8Kテレビへの動きと考えられます。

 

動画圧縮技術の進展や標準化の進展と4K、8Kテレビの実現は、放送波の有効利用及びインターネット回線の有効利用と言う点からコインの裏表のような関係にあると考えられます。

 

従来、放送波やインターネットでは動画の圧縮方式としてMPEG-2、MPEG-4が活用されていました。

 

スマートフォンで動画を視聴する場合、場所によって帯域幅が異なる為、ダッシュと呼ばれるフレーム周波数(秒間のコマ数送り数)を複数準備して対応する方式が標準となっています。ダッシュはMPEG-2、MPEG-4に対応していますが、HECVH.265)への対応はこれからです。(ソフトウエアの書きなおしが必要)

 

<4Kの普及は2017年頃の見通し、その頃にはスマートテレビが普及している>

 さて4Kの普及は2016年のリオデジャネイロ・オリンピックでグローバルに宣伝がなされ、実際は2018年のピョンチャン(平昌)オリンピックの前後からと見られています。

 

2013年からいよいよメーカー各社は、4K放送とHECVH.265)に対応した業務用の機器(カメラなど)や受信機のビデオカード、ソフトウエアの変更などを本格化させています。しかし様々な課題が解決し、4K放送のエコシステム(生態系)が成熟するのは2018年前後と言う見方が出ていますが、その位時間がかかるのは、自然かなとも考えられます。

 

パソコンでの4K動画の視聴の場合にもスマートテレビの場合にも、ディスプレイの解像度やHECVH.265)などにビデオカード(GPU)が対処出来るかと言う問題もあります。恐らく多くのパソコンやスマートテレビが買い替えを余儀なくされるでしょう。

 

<単なる画質の向上はモノ支配論理の発想>

 さて問題なのは4K、8Kテレビのもたらす画質の向上は「サービス支配論理」では無く「モノ支配論理」の発想だと言う点でしょう。視聴者は多少動画が荒くてもパソコンやスマートデバイスでYouTubeやニコニコ動画を喜んで視聴する時代です。画質よりも何時でも何処でも視聴できると言うサービスの利便性を重視し始めています。

 

従がって普及の為には「映画館で4Kドラマを皆で見よう!!」程度では弱く「あなたもアバターになって参加して、4K初音ミクの演奏会をテレビで見よう」と言った突飛なサービス発想を絡ませる必要があると思われます。(既にデジタルシネマは須らく4Kです)

 

この点に関しては3Dテレビも同じ事が言われました。

 

<視聴者は4Kや8K動画を見るか?>

 

 普及の問題は実際に視聴者が4Kや8K動画を見るかと言う点が最も重要です。現在の小さな画面の大きさでは、スマートフォンやタブレット、パソコンでは、現状のHD動画で十分ではないかと見られている為、この機器の買い替えと4K対応機移行は相当遅いと予想されます。現在、一台が100万円もする4Kテレビがどこまで安くなるかも注目点ですが。

 

一方画面の大きさが50インチ前後では、間違いなく4Kが効果を発揮します。従がって家族持ちの世帯では茶の間の一台目のスマートテレビとしては4Kが売れるでしょう。一方画面の小さい二台目、三台目はタブレットでも構わないと考えられる為、4Kスマートテレビの普及は遅いと考えられます。

 

また8Kテレビに関しては、60インチー80インチの大画面を購買する御金持ち層に受けそうです。(現状では一般層にあまり売れるとは思えません)

 

従がって大型画面テレビに魅力を感じない層には、4Kスマートテレビの普及は相当ゆっくりしたものとなるでしょう。(何時まで経っても買わない層も相当出てきそうです)

 

<有機ELの新型スマートディスプレイが普及のきっかっけかも>

しかし大型ディスプレイも紙のように巻ける有機ELの安い大型ディスプレイが登場する時代(新たな技術革新の時代)になれば、話は違ってきます。例えば旅先でスマートフォンがネットから引き出す4K映像をスマートウオッチやグーグルグラスの感覚で、手持ちの有機ELの大型巻物テレビに飛ばして4K映像を楽しむ時代になれば、4Kや8Kは新たなスマートデバイスの波にのって一挙に普及するかもしれません。ホテルの窓辺にでも紙のような有機ELディスプレイをぺたっと張って視聴する訳ですね。この状況は明らかに新しいサービスの提供、新しい視聴スタイルの実現が可能になっています。

 

その頃には衛星テレビ二位の米国デイッシュネットワークのアーゲン会長がおっしゃるように放送事業者は通信キャリアに変身しており、放送とインターネットの境目は消えている時代の入り口に立っているのでしょう。

 

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