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オーケストラのステージマネージャという、あまり馴染みのない仕事をしております。その中で見えてくるものや、他の業種との比較などを中心に、文房具の使い方やガジェットの活用などを書いてみたいと思います。

年末は木の匂い

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 12 月です。
 年末です。
 
 クラシック界は第九の演奏会が増えます。
 尋常では無い数ですね (日本では!) 。
 TV のオンエアもあります。放送局のオーケストラでは恒例ですね。
 
 右向いても左向いても、コンサートホールのポスターに「第九」の文字が踊っています。

 
  
 仕事でも、第九のセッティングをしたり演奏したりする機会が増えます。
 ええ、とっても。
 
 因みに、今年の冬の第九の仕事を数えてみました。
  ステージの仕事...10 回の本番分(リハーサルを数えるとややこしいので)
  演奏の仕事...1 回
 うーん、例年より少ないかも?
 
 25 日にリヒャルト・シュトラウスとシベリウスを弾いたので、個人的には第九に接する機会が減りました。
 
 
 
 
 
 第九と言えば、合唱。
 合唱と言えば、合唱台。
 合唱台と言えば...台組み...。
 
 

 舞台というのは、平場ですから、段差をつけようと思ったら台を組まなくてはなりません。 
 お客様が見ている光景というのは、平らな板の間に台を組んだ (或いはオーケストラ迫り等を上げて台を組んだ様にした) 状態であるわけです。
 台に乗る面積や高さに合わせて、組んでいきます。
 箱馬等に平台 (注 1) を乗せて、組んでいきます。
 
 台組みに使うものは大抵木でできていますので、手袋があると助かります。
 結構とげが刺さることが多いものなのです。
 
 
 
 合唱団がいるということは、数十人~数百人という規模に合わせて台を設置する必要があります。
 平場に並んで歌うとなると、前の方とどうずれても、必ず重なってしまうので
「見えませーん!」
という方が沢山出ます。
 
 最近のホールで、舞台の後ろの P 席 (注 2) があるところだと、そこに合唱を入れることもできますが (但し、そこのチケットを売っていなければ、です)、普通のホールですとそうはいきません。

 また、ベートーヴェンの交響曲第 9 番は、合唱が実際に歌う個所が第 4 楽章以降なので、合唱団が座れる様にしておきたいものです。
 (合唱の入場が第 3 楽章前等、舞台上で待機する時間が短い演出の場合は立ったままということもあります。また、P 席を流用する場合は、座席がそのまま使えます) 
 
 
 

 さぁ、せっせと合唱台を組むんだ!
 
 
 
 因みに、合唱団の人数分台を組むと、その分舞台の面積が減っていくので、オーケストラは管楽器以外は台を組めないことが多いです (?)。

 合唱団の人数分組むわけですが、胸から上が必ず出る様な高さの場合、一番上の段は結構怖いです。
 合唱で歌う時には、前に人がいますからあまり実感しないとは思いますが、一人で乗ってみると高さを実感します。
 合唱台は、歌うだけではなく、合唱の皆さんが歩いたりもしますので、強度も必要です。
 緻密な設計が必要です (のはず)。
 
 
 
 そんな合唱台も、組んで・リハーサルやって・本番が終わったら、用無しです。
 せっせとばらして、使ったものはすべて仕舞って...もとの更地に戻すことになります。
 
 そんな時 (普段のオーケストラ用に組んでいてもそうなのですが)、自分達が作ったものを自分たちで壊す、因果な仕事だなぁとぽそっと思うことがあるのは内緒です。
 
 
 
 木の香りに慣れきったころに、新年を迎えます。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 注 1 (Wikipedia より引用)
  箱馬 : 木板を箱状に組み合わせたもの。舞台装置の高さを調節したり踏み台にしたりする
  平台 : 三尺×六尺、四尺×六尺などの大きさの木製の台。足と呼ばれる台の上に固定することで「ひな壇」ができる
 
 注 2 (私の知っている範囲です)
  サントリーホールの P 席が語源で、ステージの後方、指揮者の正面の席。
  それまでワインヤード型のホールが無かった (そもそもクラシック専用のコンサートホールが無かった) 日本で、初めて出来た。
 聴こえる音が左右逆転し、残響が時間差で来るので、気持ち悪いと言えば気持ち悪いが、ホールによっては、一番いい音が聴けることになる。
 指揮者の表情もよく見えるので、指揮者のファンや指揮の勉強をしている人には視覚的にも特等席。
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