VMwareはハイブリッド・マルチクラウド時代に存在感を維持できるのか
日本は連休でも世界は動いています。4月29日、VMwareとMicrosoftが提携を発表しました。
Microsoft Azure上のVMware vSphereクラウドサービス、「Azure VMware Solutions」が発表
記事では「DellとMicrosoftが発表」となっており、こちらの記事でも、
ということで、今回の発表にはVMwareの親会社であるDellが深く関与しているようです。(Dellのイベントでの発表でもありますし)しかし、MicrosoftとVMwareの提携って、2017年に既に発表されているのですよね。
正直、今回の発表内容を見ても、この時の内容と何が違うのか、よくわかりません。サービス名は「VMware virtualization on Azure」から「Azure VMware Solutions」に変わっていますが、どちらもvSphereをベアメタルで提供するということでは同じようです。
今回の発表は、親会社Dellの都合?
Dellは2015年にEMCの買収を発表し、2016年に買収を完了しました。VMwareはEMCの子会社ですから、Dellにとって孫会社にあたります。しかし、この買収はあまりうまく行かなかったようで、昨年2月にはそのVMwareがDellを買収するかも、という凄いニュースもありました。
買収はしたけれども業績が思ったように伸びず、買収時の負債が重荷になっていたということのようです。唯一業績が好調なVMwareによる「逆買収」で苦境を脱しようということだったのですね。しかし結局、この話はDellが再上場するということで決着しました。
逆買収を避けたのは、上のクラウドウォッチの記事にあるように、業界のVMware離れを避けるためだったのではないでしょうか。そして、その道を選んだからには、VMwareを中心にした提携を推し進め、業界がハイブリッド・マルチクラウドに移行する中で確固たるポジションを維持していくのが、Dellの戦略と考えられます。正に「Dell EMCは市場での戦いで競合優位性を保つために、VMwareを活用する必要がある」のです。
今回、あまり新味の無い(いや、まだわかりませんが ^^;)発表をあえて行ったのも、Dellの都合(株価対策?)だったのかも知れません。
仮想マシンは無くならない?
一時期、VMwareに代表されるハイパーバイザー型仮想化技術は、Dockerのようなコンテナ技術で代替される、という論調も見られました。しかし、先々週も書いたように、ユーザー企業が一気にコンテナに移行する様子はまだ見えません。
これについては、コンテナと仮想マシンには各々得手不得手があり、使い分けが大事、という指摘もあります。
この中に、
エンタープライズがオンプレミスにコンテナを作るというよりも、コンテナはむしろパブリック・クラウドで最適なツールといえます。
という記述があります。コンテナはクラウド事業者向け、ユーザー企業には仮想マシンが向いているということですね。
今起こっていることは正にこれで、AWSやGoogle、Azureのようなクラウドプロバイダーは自社サービスをどんどんコンテナに移行させていますが、それとは対照的に、ユーザー企業はコンテナよりも仮想マシンを好んでいるようです。ユーザー企業にとってはコンテナはまだまだ馴染みが薄く、仮想マシンのほうが管理しやすいのでしょう。既存システムをクラウド化(パブリックでもハイブリッドでも)する際にも、システムへの手直しが最小限で済むことも影響しているとも考えられます。となれば、まだまだ仮想マシンは利用され続け、VMwareの存在感も無くならないのかも知れません。ハイブリッド・マルチクラウドへの動きも、VMwareにとっては追い風になりそうです。
クラウドの未来はどうなるのか?
クラウドの世界は常に進化し続けています。ハイブリッド・マルチクラウドへの動きはコンテナや仮想マシンを巻き込んで大きなうねりになりつつあります。変化の激しい時代、何に注目し、何を追いかけるべきなのか。
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