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どうしたらネットで力づけられたり、助けられたりするのでしょう?コミュニケーションを観察します。

生贄の女ムフタール

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ITmediaから提供いただいた本を読んでレビューを書かせていただいています。だいぶ間が空いてしまいましたが、その第四弾。生贄の女、というタイトルに一体どんなひどいことがされてしまったのか‥と読み進めました。しかし、この本の本質は、サブタイトル「屈辱の日々を乗り越えて」に表わされています。

パキスタンの小村に住むムフタールは、いいがかりをつけてきた有力者の元へ、一家を代表して謝罪に向かわされます。しかし、謝罪とは彼女に対する集団レイプでした。警察に訴えるも、字の読めないムフタールは嘘の供述書にサインさせられそうになります。時間ばかりを稼いで、何もしない警察。一人の心ある判事が出現し、事件が報道されたことによって、彼女の立場は変わっていきます。

裁判を通して、同じような立場の女性たちの存在が次々と明らかになり、ムフタール自身も勉強を始めます。「女にとってのいちばんの問題は『何も知らされない』ということだろう。」という一文が、彼女の問題意識を端的に表わしています。部族法が女性を排除しつつ、女性に対して理不尽な扱いをする事実。小学校で女児の教育を始めたムフタールの裁判は、まだ判決がでていないということです。


生贄の女 ムフタール 屈辱の日々を乗り越えて

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