ボストン・グローブ紙、編集部にTwitter専用モニタを設置
デマのリスクはあれど、ソーシャルメディアがどこよりも速く速報を伝えるメディアとなっているのは事実であり、最近では中国の列車事故などでその威力を見せつけています。中でも情報の伝達力でずば抜けているのがTwitterなわけですが、ボストン・グローブ紙の編集部に、Twitterのタイムラインを表示する専用モニタが登場したとのこと:
■ Boston Globe creates a Twitter board for the newsroom (Nieman Journalism Lab)
同紙のウェブサイトと並んで表示されているのは、公式アカウント(@BostonUpdate)のツイートと、同紙の記者やコラムニストなどのアカウントをまとめたリスト(BostonGlobe)。名前が洒落ていて、"Information Radiator"(情報ラジエーター、つまり「情報放射器」とでもいったところ)と呼ばれているのだとか。
このモニタが設置された目的は、記者達が集めてくる情報を集約して表示することで、いま世界でどんな動きがあるのかをスタッフに感じてもらったり、「このテーマは面白いから掘り下げてみよう」などといった会話が起きるようにするためとのこと。またそれと同時に、こんな目的もあるそうです:
The radiator, much like Nick Denton’s infamous display, could have a notable side effect of encouraging a little friendly competition among the staff. It may not be a pageview bounty, but Marstall hopes it inspires more of Globe journalists to get on Twitter. Even with more than 170 Twitter accounts, there’s still plenty of progress to be made.
この「情報ラジエーター」は、ニック・デントンの悪名高きディスプレイ(※Gawker Mediaの傘下にあるサイトが並べて表示され、記事ページビューのランキングも表示されるというもの)によく似ており、スタッフ間で良い意味での競争を促すという副作用もあるだろう。ページビュー競争になるということはないだろうが、Marstall(※Chris Marstall、ボストン・グローブ紙の技術者で"Information Radiator"を設置した人物)はこのモニタを設置することで、グローブ紙のジャーナリストたちがインスパイアされてTwitterに本腰を入れるようになることを願っている。関係者のアカウントは170を超えたが、まだまだやるべきことは多いのだ。
Twitter上を流れて行く無数の情報。くだらないものもあれば、ハッとするような大ニュースもある――ITmedia読者の皆さんにはお馴染みの話かもしれませんが、ソーシャルメディアの世界に浸ったことがない人々にとっては、まだまだ未知の体験でしょう。それを少しでも感じてもらい、いま情報の世界にどんな変化が起きようとしているのかに気づいてもらう。そんな狙いがあるわけですね。
さてさて、この「情報放射器」が伝統的なジャーナリズムの現場を変えることになるのかどうか。個人的には、新聞社の編集部以外に置いた方が良さそうな場所がいくつか頭に浮かぶのですが、ともあれ面白い試みであることは間違いなさそうです。
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