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ノルウェー連続テロ事件とGoogle+

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また痛ましい事件が起きてしまいました。既に各種メディアで報じられていますが、ノルウェーの首都オスロとその北西にあるウトヤ島で連続テロ事件が発生し、現在までで犠牲者は90名を超えているとのことです:

ノルウェー爆発に続く銃乱射事件、死者計91人に 容疑者特定 (CNN)

近年の大規模な事件と同様、今回のテロ事件でもソーシャルメディアを通じた現場からの情報提供・速報の拡散・関連情報の収集(上記のCNN記事でも指摘されている通り、容疑者の顔写真がFacebookから入手されるという事態が生まれています)が行われていますが、先日Googleからリリースされたばかりのサービス「Google+」ではどうだったのでしょうか。早速こんな記事が投稿されています:

Oslo Bombing Prompts Experimenting With Google+ as Breaking News Tool (Mashable)

Google+上で今回の事件に関する速報が流れたこと、またユーザー間で情報共有の工夫が行われたことについて。例えばSiegfried Hirschというユーザーが信頼できる情報源として何人かのユーザーを挙げ、彼らをまとめるサークルを作るというアイデアを披露しています。つまりTwitterで言うところのリスト機能のような使い方をサークルで実現すると。さらにスレッド形式でコメントをまとめることができるという点を活かして、ある投稿に情報や追悼コメントを集約して行くという使い方もされているようです(こちらはFacebook上での議論に近い使い方、と言えるでしょうか)。

もちろんGoogle+のユーザーはまだまだ他のソーシャルメディアと比較して少なく、Twitterのトレンド機能のように、いち早く話題のトピックを知るという点については整備が必要です。しかし現在参加しているユーザーは、いわゆるギークやアーリーアダプターと呼ばれる「新しいもの好き」の人々であり、彼らが創意工夫の中からGoogle+における最適な情報共有方法を編み出して行く、という可能性は高いでしょう。それはTwitterが情報共有ツールとして定着して行く過程でも起きたことであり、その中からハッシュタグやリツイートなどの公式機能が生まれてきたのでした。同じ事をGoogle+にも十分期待できるはずです。

そして何と言っても、Googleには検索エンジン/サービスという最大の強みがあります。まだGoogle+内の投稿をリアルタイムに検索する手段はありませんが(インデックス化はされているので、検索時に "site:plus.google.com" を指定すればGoogle+内に限定した通常検索は可能です)、いずれ何らかの機能が追加されることを期待するのは、それほど的外れでもないでしょう。それこそ先日停止されたリアルタイム検索(Twitterとの契約切れによるものという説明がなされています)をGoogle+限定で復活させることもできますし、実際に同検索が無くなった当初は「リアルタイム検索をGoogle+と融合した形で再開するらしい」という報道も流れていました。

実はこの記事を書いていた午後11時頃にも、中国で高速鉄道が脱線したという情報がGoogle+上をいち早く飛び交い、まさにGoogle+が速報ツールへと変化した瞬間を体験してしまった次第。どうやらGoogleは、Twitterとの関係が切れてしまった後でもリアルタイム情報の源泉を心配する必要は無くなりつつあるようです。とすると、リアルタイム検索閉鎖の影響は、今後むしろTwitterにとって大きなものとなると言えるのかもしれません。

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