サンフランシスコ市、行政データを活用する「アプリストア」をオープン
公共機関が自らの持つデータベースを解放し、それを活用するアプリを自由に開発してもらう――そんな動きが米国で生まれていることは、各種メディアで報じられているのでご存知の方も多いと思います。ニューヨーク市の例など、既に形になっているケースも多いのですが、今回サンフランシスコ市が「アプリストア」をオープンさせたそうです:
■ 行政版App Storeが開設ブームか - サンフランシスコ市が地元密着型を公開 (マイコミジャーナル)
ストアといっても、当然ながらサンフランシスコ市がアプリを売って儲けようとしているわけではなく、実際には「ショーケース」という名前で、第3者によって開発されたアプリを紹介するという趣旨のサイトです。リンクはこちら:
現時点で13個のアプリ/サービスが紹介されています。実際にご覧いただくのが早いのですが、簡単に紹介しておくと:
- Crimespotting: 犯罪の発生場所と種類を示してくれるインタラクティブマップ。
- EveryBlock: 指定された住所の付近で起きたニュースを教えてくれる。
- CleanScores: 飲食店に対する衛生検査の結果を調べることができる。
- EcoFinder: (iPhone アプリ)ゴミの分別と、廃棄方法/リサイクル方法を教えてくれる。
- Routesy San Francisco: (iPhone アプリ)交通機関の乗り換え案内。
- SpotCrime: (iPhone アプリ)犯罪情報データベース。地図上にデータをプロットしたり、アラートをメールや Twitter 等で受け取ることができる。
- CrimeReports: 指定された住所付近の犯罪データを Google Maps 上にプロットする。
- BART Arrivals: BART(サンフランシスコの通勤用鉄道)の運行状況を教えてくれる。
- Your Mapper: 犯罪データをインタラクティブマップ上にプロットしてくれる。
- TrainSchedule: サンフランシスコ周辺の鉄道の時刻表を調べることができる。
- Dadnab: テキストメッセージベースの乗り換え案内。条件を入力したメッセージを送ると、同じくメッセージで結果を返してくれる。
- Mom Maps: (iPhone アプリ)サンフランシスコ周辺で、子どもと一緒に楽しめる施設を教えてくれる・
- MuniApp: (iPhone アプリ)市営交通機関の運行状況や、近くにあるバス停などを教えてくれる。
こんな感じ。「犯罪情報」と「公共交通情報」系が多いのがまず目に付きますが、データが充実しているからなのか、市民の関心が高いからなのか、あるいは単にサービス化しやすいからなのかは興味が引かれるところです。
Twitter が多くの人々に受け入れられ、大人気となった理由の1つに、APIが充実していることがよく指摘されています。自社のサイトに囲い込もうとせず、第3者が自由なアイデアでデータを「加工」することを許した結果、サービス全体の魅力が上がったというわけですね。行政機関が抱えるデータについても、恐らく同じ事が言えるはず。「データはここにある。さあ取りに来い、加工は勝手にやってくれ」では、サービスの有効活用は期待できないでしょう。もちろん第3者によるアプリが優れたものである保証はありませんが、彼らの中で競争が生まれることで、次第に優れたアプリが進化していくはずです。
個人的には、先日ついに一般公開されたセカイカメラの技術と結びつけて、ゴミ捨て場を写してみると「今日は月に1度の粗大ゴミ回収の日!」みたいな警告メッセージが出るアプリとかあったら便利だと思うのですが……。あるいは旅行者向けに、あるエリアを写すと、そこで過去にあった事件・事故の現場写真が表示されて警告を促す、なんて。こちらはちょっと悪趣味と言われてしまうかもしれませんが。
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