病院も Twitter する時代
「宇宙から Twitter」ほどのインパクトではないのですが、病院も Twitter を始める時代になったようです:
■ Webcast Your Brain Surgery? Hospitals See Marketing Tool (New York Times)
百年に一度、と称される不況に直面して、病院も新しいマーケティングツールを探す必要に駆られている――それが Twitter を始めとするソーシャルメディアである、という記事です。冒頭に取り上げられているメンフィスの Methodist University Hospital では、開頭手術の様子をオンラインで中継したり、Twitter で情報配信するなどの試みを行っているとのこと。ちなみに以下は、同病院が YouTube に投稿した開頭手術に関する動画です:
なんだかちょっと奇妙な感じもしますが、同様に YouTube や Facebook、ブログ、Twitter 等を活用している病院は、現在米国に250以上存在しているのだとか。Methodist University Hospital は特異な存在というわけではなく、今後こうしたソーシャルテクノロジーによる情報公開が進んでいくのでしょう。
一方で記事が指摘しているのは、患者のプライバシー侵害など、倫理面で問題が起きるのではないかという懸念。確かに病院が宣伝のためにバイラル・ビデオを作成、なんてのはちょっと行き過ぎですし、Twitter で「今日の患者は小林啓倫さん。痛いのが嫌いで、麻酔の注射すら心配なようです」などと書かれてはたまりません。一般企業の場合と同様、何らかのガイドラインが存在してしかるべきではないかと思います。
ただ個人的には、ソーシャルテクノロジーが医者と患者との距離を縮めるのに役立ってくれるのではないか、と期待しています。例えば術後の経過に関して心配なことがあれば、病院まで出向かずにネット上で相談したり(この辺は法律も絡んでくるので一律には実現できないと思いますが)、患者本人だけでなくその家族とのコミュニケーションが深まったり。上記の例は医師が情報発信するという話でしたが、入院中の患者がブログできる環境を用意する(これは『グランズウェル』の中で事例として紹介されています)などの形で、患者側からもコミュニケーションを活性化させることができるでしょう。
確か米国は日本に比べ、病院が宣伝行為を行うことに関する規制が少ないと記憶しているのですが(間違っていたらご指摘下さい)、その辺りが「病院もソーシャルメディアを活用」の背景にあるのかもしれません。であるとすれば、日本で同様の動きが生まれてくるのは少し先になるかもしれませんね。しかし日本でも医師が書く人気ブログというものが登場し始めていますし(今回のインフルエンザ騒動でお世話になった方も多いのではないでしょうか)、ルール上の問題さえクリアされれば意外と普及は速いのではないかと思います。ただ薬のネット販売規制が決定してしまうような状況ですし、大々的に流行すれば何らかの規制が入る可能性は高そうですが……。
【○年前の今日の記事】
■ 短気になるネットユーザー (2008年5月26日)
■ 幸せの数式 (2006年5月26日)