オルタナティブ・ブログ > シロクマ日報 >

決して最先端ではない、けれど日常生活で人びとの役に立っているIT技術を探していきます。

電子図書館つきホテル、という発想

»

年末年始で旅行を楽しむ、という方も多いと思いますが、旅の楽しみの1つと言えばホテル。特にどこかを観光するでもなく、ホテル自体を楽しむという場合もあるでしょう。そこでスパやレストランなど、各ホテルが様々な趣向を凝らしているわけですが、お馴染み米アマゾンの電子ブックリーダー"Kindle"を使ってユニークなサービスを行うホテルが登場したそうです:

Hotel offers each guest a favorite book, on Kindle (Springwise)

そのホテルの名は"The Algonquin"。ニューヨーク、マンハッタン島のミッドタウンにあるホテルです。ここで今年9月から始まったサービスが、宿泊客が事前にチョイスした電子ブックを、Kindle の中にプリインストールして貸してくれるというもの(自分で選択したものだけでなく、ベストセラーや古典的作品などもインストールしておいてくれるとのこと)。端末の貸し出しはホテルの敷地内だけですが、無料で提供してくれるそうです。

実はこの The Algonquin、有名な作家たちが宿泊していたことでも有名なホテルで、その伝統を印象づけるために始められたサービスなのだとか。理由はともあれ、なかなか魅力的なサービスですよね。アマゾンや電子ブックの出版社側とどのような契約になっているのか分かりませんが、彼らにとっても"Kindle"というデバイスや電子ブックという新しいメディア、さらに売り出し中の作品をPRする良い機会になるでしょう。ここで Kindle に触れて、帰ってから端末を買おう、あるいはホテルで読んだ作品を(電子ブックか否かを問わず)買おうという気になる宿泊客もいるはずです。端末や電子ブックの仕入れ価格を、多少は割り引いてもらっているかもしれません。

以前の記事(下記の「関連記事」参照)などでも触れましたが、本とホテルというのは愛称が良さそうだというのは何となく同意できますよね。「宿泊者一人ひとりに合わせた本を用意する」サービスが消費者にとって魅力的なのは確かだとしても、物理的に実現するのは不可能――しかし電子的になら提供じゃないか、ということで、Kindle が軌道に乗り始めた今だからこそ可能になったサービスだと思います。ホテルだけじゃなくて、例えばカフェや空港の待合室にも同様のサービスを展開して「電子図書館つき○○」なんて発想を進めることが可能かもしれません。

【関連記事】

ホテル+本=?
世界初?「iPhone ホテル」

Comment(0)