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情熱的な議事録

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「議事録」という単語から連想する形容詞って何でしょうか。通常は「きちんとした」「清書された」といった几帳面さを示すもの、もしくは「退屈な」「長ったらしい」といったネガティブな意味のものが出てくるのではないかと思います。少なくともこんな図を連想することはないでしょう:

Guy Kawasaki's speech at International Coach Federation (Martha McGinnis)

Guy Kawasaki 氏が行った"The Art of Innovation"というスピーチのまとめで、彼自身がブログで紹介していたものです(ちなみに7.4メガバイトものサイズがある拡大版はこちら)。図を作成したのは Martha McGinnis という方で、この手法を Live Graphic Recording と名付けて広めようとされているようです。他のサンプルはこちらのページや、ギャラリーのコーナーで見ることができるので、興味のある方はご覧になってみて下さい。

これらの図は「議事録」というイメージからはかけ離れた代物ですが、話の内容を伝えるという点においては、ちゃんとその役割を果たしていると言えるでしょう。臨場感、情熱を伝えるという点では、Live Graphic Recording の方が普通の議事録よりも上回っているかもしれません。また「先日の会議の議事録です」というメールが送られてきたときに、添付のWORD/EXCELファイルをいちいち開く人は少ないと思いますが、こんな図なら目を通してくれるという効果も期待できるのではないでしょうか。

実はいま『ファシリテーション・グラフィック』という本を読んでいるところなのですが、この本のタイトルになっているファシリテーション・グラフィックとは

話し合いの内容を、ホワイトボードや模造紙などに文字や図形などを使って分かりやすく表現して、「議論を見える化」する技法です。

とのことで、ちょうど Live Graphic Recording によって作成されるような図の書き方を教えてくれます(それが Guy Kawasaki 氏のブログに目が留まった理由だったりするのですが)。こちらは文字通り「ファシリテーション」のための手法ですから、会議(議論)を効率的・効果的に進めることに主眼が置かれていますが、会議中に作成したファシリテーション・グラフィックは「文字に落とした場合よりも話の流れやムードが生き生きとよみがえってきて、時として正式な議事録よりも役に立つ」と主張されています。会議が円滑に行えて、しかも作成した図がそのまま魅力的な議事録になるとしたら、こうした「グラフィック記録手法」を試してみる価値は高いのではないでしょうか。

ただ文字ではなく視覚的にまとめるとなると、いわゆる「絵心」のある人でないと難しそうですね(ちなみに『ファシリテーション・グラフィック』では上手に描けなくても大丈夫、と主張されています)。「議事録?オレはダメだよ、絵が下手だから」っていう言い訳が蔓延したりして……しかし「議事録?オレはパス、文章下手だから」「議事録!?そんな小さな仕事、オレがやってられっか!(←オイオイ、議事録作成は重要な仕事ですよ)」って逃げる人も多いですし、その辺は今と一緒かもしれませんが。

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