「バラ」ありますか?
バラといっても真っ赤な薔薇にあらず。「バラ売り」のバラの話なのですが、年末ジャンボ宝くじのシーズンということで、こんな記事がありました:
■ 宝くじの『バラ』 どう作る (東京新聞)
タイトル通り、宝くじの「バラ売り」用の束をどう作っているかについて。なんと専用の機械まであるんですね。考えてみれば当然なのですが、あの狭いブースの中でせっせと作っていたりするのかなと思ってました(手作業の場合もあるようですが)。
ところで、なぜ「バラ」などという売り方が存在するのでしょうか?記事の中でも指摘されている通り、バラでも連番でも当選確率は一緒。ならば当選確認に手間がかからない連番の方が良いはずです。しかし連番とバラ、確認の際にどちらがドキドキ感が長続きするかといえば、当然バラの方でしょう。また「番号がバラけていた方がなんとなく当たりそう」という感覚もあると思います(僕がバラの方を選んでしまうのはこれが理由)。そういった、いわば理不尽な感覚に対応できるのが「バラ」というわけです。
しかし連番とバラに品質上の差はないわけですから、販売する側からすれば、バラは単にコストがかかるだけの存在です。極端な話、宝くじ協会は「商品」を連番だけにして、価格を下げるという手段も取れるはずです。しかし逆に専用の機械を導入したり、売り場で人の手をかけてまでバラ売りを実現している -- それほど「バラ」が人々に与える心理的影響が大きい、ということなのでしょう。
翻って考えてみた場合に、「こんなモノ/サービスを提供するのは非効率だ。Aという同質のモノ/サービスがあるのだから、コストがかかるBはやめてしまおう」と判断しているものがないでしょうか?ムダに過ぎないと思っていたものが、実はお客様が重視しているポイントだった -- というケースは意外に多いのではないでしょうか。自社が提供しているモノ/サービスが、お客様の手元でどう活用され、何が喜びや楽しさを生み出しているのか。それを考えないと、大切な「バラ」を捨ててしまうという結果になってしまうと思います。