アフター・アフターサービス
日経ビジネスの2006年6月26日号に、「勝ち組、アマゾンに死角」という記事が掲載されています。日経ビジネスが行ったアフターサービス満足度調査の結果、インターネット通販部門でアマゾンジャパンが第14位にとどまったそうで、その理由を解説したもの。「電話による受付を行っていない」「返信メールが事務的で誠意が感じられない」などの理由が挙げられています。
個人的な感想としては、アマゾンのアフターサービスはそれほど悪くはないのではないか、と思います。以前「自己都合による返品」をお願いしたことがあるのですが、メールでの問い合わせも含め問題なく返品することができました(ちなみにPS2しか持っていないのにPSPのソフトを買ってしまったというバカな理由にもかかわらず)。しかし家電やソフトウェアなど、モノによっては電話応対して欲しくなる場合もあるでしょう。日本の消費者が期待するような「きめ細かいアフターサービス」というレベルには達していないのかもしれません。
一方でアマゾンは、従来のアフターサービスとは異なるサービスを提供しています。例えばカスタマーレビューが書けたり、過去に買った商品を売れたり、過去の購買傾向から次に買いたくなる本を探してくれたりするのはご存知の通り。また Amazon.com の方では BBS や Wiki なども導入され、ユーザーがより Amazon というサービスに深く参加できるようになっています。これらのサービスは、アフターサービスの次に来るサービスとして、「アフター・アフターサービス」と考えられるのではないでしょうか。
売った商品を問題なく使ってもらうことがアフターサービスとすれば、アフター・アフターサービスは「売った商品を楽しく使ってもらった後に、さらに喜んでもらう」ためのサービスです。AISAS の概念ではありませんが、人は自分の買った商品に対する感想を誰かに伝えたくなってしまうものです。カスタマーレビューや BBS、Wiki といった機能は、まさにその欲求を満たしてくれるものではないでしょうか。また注文した通りの本が来たけれど、内容は期待した通りでなかったという場合には、マーケットプレイスを通じて売ってしまうことができます。アフターサービスだけでなく、こうした価値の提供を通じても、顧客ロイヤリティを高めていくことができるでしょう。
アフターサービスを完璧にすることも大切ですが、その後にどんなサービスを追加できるかを考えてみても面白いのではないでしょうか。満足度=お客様の求めている商品/サービスを届けて終わり、という発想から離れてみれば、様々な可能性が見えてくると思います。