スキマを埋めるサービス
昨晩、テレビ東京のワールド・ビジネス・サテライトを見ていたら、アメリカで始まったちょっと面白いサービスについて報じていました。"Super Suppers"というサービスで、キッチンを借りて料理を作れるというものです:
仕組みはこんな感じ:
- 来店する場所を選ぶ
- 作るメニューを選ぶ(メニューを開発する専属のレシピ・チームがいて、定期的に新メニューが追加されるようです)
- 調理(セッションと呼ばれる)に参加する日時を選ぶ
- 来店し、指導に従って料理を作る
- 「あとは家で焼くだけ」「温めるだけ」の状態まで作り、自宅に持ち帰る
食材は既に用意されているので、後は簡単な調理をするだけ。それすらもかったるい、という人には、半完成状態の料理をピックアップできるサービスも提供しています(もっともそれではデリバリーサービスと変わりなくなってしまいますが)。フランチャイズ形式で出店を行っており、Supper Suppers のサイトに掲載されている New York Times の記事によれば、既に121店が出店済みで77店が計画中とのこと。アメリカではメジャーとなりつつあるサービスのようです。
このサービスが受ける背景について、ワールド・ビジネス・サテライトでは「料理した後の片づけがいらないので便利」「いつもファーストフードや冷凍食品ばかりを家族に食べさせるのは申し訳ない」という心理があることを指摘していました。他にも「食材を揃える手間がいらない」「料理が苦手だから指導があると嬉しい」「大勢の人がいる中で料理するのは楽しい」などといった様々な理由が考えられると思います。
世の中には様々なフードサービスがありますが、「誰が作るか」という視点で考えてみると、「自分で料理を作る」「他人に作ってもらう(外食する/デリバリーする/買って帰る)」という2つの方向性しかありませんでした。Super Suppers が画期的なのは、この2つのスキマを埋めるサービスを作り出した点ではないでしょうか。「料理」という作業を分解してみると、(1) メニューを考える (2) 食材を買う (3) 食材を貯めておく (4) キッチンを用意する (5) 下ごしらえをする (6) 調理する (7) 盛り付ける (8) 食卓に出す (9) 食べる (10) 後片付けする、というプロセスで構成されていることがわかります。Supper Suppers はこれらのうち、(6)~(9) 以外の部分を担当することで、「自分が作るか否か」という二者択一では満たせないニーズに対応しているわけです。
このように、ある作業を1つのプロセスと考えずに、細分化してみると何か新しいニーズを発見できるのではないでしょうか。私たちが気付いていないだけで、まだまだ意外なところにスキマが開いているものなのかもしれません。