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決して最先端ではない、けれど日常生活で人びとの役に立っているIT技術を探していきます。

情報ジャスト・イン・タイムの作り方

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「情報洪水」という言葉があります。情報があり過ぎて、かえって役に立たない状態のことを指す言葉です。例えばITmediaを読まれている方々なら、既にRSSリーダーをお使いだと思いますが、「フィードを登録し過ぎて逆に情報を効率的に集められなくなった」という経験をされている方も多いのではないでしょうか。社内ブログをめぐる議論でもこの「情報洪水」が話題になるのですが、洪水を恐れていては、必要な情報までも遮断して「渇水」を招きかねません。

要は必要な時に必要な情報だけを過不足無く集めるという「情報のジャスト・イン・タイム」が実現できれば良いのですが、RSSフィードのように情報を収集する技術ばかりに目を奪われてしまうと、往々にして洪水を招きがちだということでしょう。もっとシンプルな解決方法はないものでしょうか。

先週末の朝日新聞日曜版に、そのヒントになりそうなサービスが紹介されていました:

花や木 撮ってメールで質問(asahi.com)

名前の分からない花や木を携帯電話で撮影し、写真をBBSに投稿すると専門家がその名前を回答してくれるというサービスです。「はなせんせ」という携帯電話専用のサイトで、BBS以外にも植物データベースなどのサービスを提供しています。詳しい解説が載っているサイトはこちら:

Aboc社

実際にサイトを使用してみた人々の感想を掲示板・ブログで見てみると、なかなか好評のようですね。「中の人」という言い方がありますが、まさにこのサイトは「中に人」がいる検索システムであり、その点も愛されている理由かもしれません。

誤解を恐れずに言えば、「はなせんせ」はいたって単純な仕組みです。「専門家に聞く」という行為を、デジタル化しただけに過ぎません。しかし「欲しい」と思ったときに「必要なもの(草花の名前)」がすぐ手に入るわけであり、まさに「情報JIT」と呼ぶに相応しい仕組みではないでしょうか。しかも草花の名前が分かった上で、もっと深い情報が知りたい場合には、データベースを検索すれば良いわけです。

最近ずっと話題にしている「2007年問題」ですが、いっそのこと「はなせんせ」にならって、退職する団塊の世代層に会社から携帯電話を支給するというのはどうでしょうか?彼らが去った後の現場で何か問題が起きたら、すぐに電話して質問するわけです。通話料は当然会社持ちで、適切な回答をしてくれたら回答者に謝礼が支払われる、という仕組みにしておきます。問題が解決すれば彼らにもメリットがある形にすることで、退職者の協力を仰仰ぐわけです。

団塊の世代が持つ全ての知識をデジタル化・データベース化しようとすれば、膨大なコストと時間がかかるでしょう。こんなシンプルなシステムの方が、複雑なシステムを導入するよりもコストパフォーマンスが良いかもしれません。また退職者が持つ「暗黙知」を無理に「形式知」化しようとして、結果としてまったく使えないマニュアルができたり、現場に余計な負荷をかけるというリスクも少なくなります。

「情報化」というと、とかくデジタル化されたデータを大量に蓄積することに目が向きがちです。しかし情報化が本当に価値を生むのは、インプットではなくアウトプットの部分にあるはずです。「はなせんせ」の事例は、インプットがアナログ(専門家の頭脳に蓄積された知識)であっても、アウトプットの仕方が適切であれば、大きな効果をもたらすことを示唆しているように思います。

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