南禅寺と疎水閣にみる京都の魅力
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南禅寺は、石川五右衛門の「絶景かな、絶景かな」のせりふで有名な三門のあるお寺。臨済宗南禅寺派の本山で、1291年に亀山法王が開創した。確かに三門の威容はすばらしい。
その先を歩いていくと、突然境内に、レンガ造りでアーチ型をした建物があらわれる。1888年に完成した、琵琶湖疏水の水路閣だ。この水路には日本初の水力発電や、灌漑、工業用水として、今も大いに利用されている。同じく日本初の京都の市電は、ここからの電力で初めて可能になったという。
およそお寺の景観とはそぐわない水路閣の建設に、当時でも反対を唱える人は少なくなかっただろう。しかし、もし当時南禅寺が江戸時代以前のような地位を保っていたら、多分水路閣は実現しなかっただろう。明治政府による廃仏毀釈令で、南禅寺だけでなく全国の寺院の影響力が低下していたから、可能だったのではないかと考える。
時代に逆らわず、起こる物事は常に最善であるとなし、時代の変化に肯定的に積極的に対応する...そんな京都の特徴が、この水路閣の姿に現れているような気がする。寺院と水路閣、今では新旧うまく溶け合っているように見えるのは、気のせい?
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