「論語と算盤」(渋沢栄一著)を読んで
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渋沢栄一といえば、今日ある日本の代表的企業を次々に設立し、日本資本主義の父と呼ばれる実業家。その彼が著した「論語と算盤」を、このたび初めて読んだ。多分日本のビジネススクールでは、真っ先に課題図書となるべきものだろう。
「論語と算盤」というタイトルからもわかるとおり、その内容は一貫して、利殖と道徳とは両立し得るし、また両立させるべきものと説く。
中国への経済進出については、下記のごとく述べる。
商業の真個の目的が有無相通じ、自他粗利するにあるごとく、殖利生産の事業も道徳と随伴して、初めて真正の目的を達するものなりとは、余の平素の持論にして、わが国が支那の事業に関係するに際しても、忠恕の念を持ってこれにのぞみ、自国の利益を図るはもちろんながら、併せて支那をも利益する方法に出づるに於いては、日支間に真個提携の実を挙ぐることは、決して難しいことではない。
あの当時彼のような意識で中国を見ていた事業家がいたとは驚いた。これが多数派だったら、歴史は変っていたかも知れない... 残念なことに、渋沢栄一は1931年、91年の生涯を閉じたのだった。
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