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元証券アナリスト、前プロダクトマネージャー、既婚な現経営者が、日頃の思いをつづります。

日系人が世界の写真界に一大旋風を巻き起こした頃

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Pictorialismという単語を、今日学んだ。オンライン辞書では日本語訳が見つからなかったのだが、Wekipediaによると、19世紀の終わりから20世紀の初めにかけて盛んだった、絵画でいうと印象派のような表現を写真でも実現しようという試みのことをさすらしい。

今University of WashingtonのHenry Art Galleryで開催されている写真展、"Shadow of a Fleeting World"。今日はこの展覧会を実現させたDavid Martinさんのガイドによるプライベートツアーが、ワシントン州日米協会主催で開かれた。

1923年から1929年まで、ここシアトルのカメラクラブは、そのメンバーのほとんどが日系2世あるいは1世。その活躍ぶりは目覚しく、米国内の賞を総なめにしたり、イギリスのロイヤルアカデミーからも招かれたりするほどだったという。

しかし1929年の大恐慌のあおりを受け、その活動は中断してしまう。1930年代に復活の兆しが見えたものの、太平洋戦争勃発でそのメンバーのほとんどは収容所に強制移住。愛用のカメラを持っていくこともできずに...

今回の美術展は、戦時中の悲しい出来事よりも、シアトルカメラクラブが一世を風靡していた頃の、その芸術性の高さを純粋に賞賛する内容になっている。

あたかも墨絵のようで、光と影の絶妙なコントラストを実現した数々の写真。これら貴重な写真を一同に集めてくれたHenry Art Galleryと、20年にわたり地道にリサーチを続け、シアトルクラブの偉業をこうして後世に伝えてくれたDavid Martinさんに、深く感謝。

写真展は5月8日まで開催されている。シアトルにお住みの方は、ぜひご覧になってください。

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