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元証券アナリスト、前プロダクトマネージャー、既婚な現経営者が、日頃の思いをつづります。

「茶の本」は単なる茶の本なんかではなかった...

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19日(土)に、ワシントン州日米協会が、ビギナーのためのお茶会を催すことになった。私も、また着物を着て出かけることにした。

今では教えるようになった生花も、日本にいる時は全くやったことがなかった。お茶は数年前から、時々お茶会に出席するようになった程度。この初心者向けのクラスを、今から楽しみにしている。

とはいえ、お茶の何たるかを全く知らないのも恥ずかしい、そうだ、お茶を西洋に広く知らしめた、岡倉天心(岡倉覚三)の「茶の本」を読むことにした。原作の英文は、Kindle Storeでただで手に入る。日本語訳は、岩波文庫のものを選んだ。

読んで驚いた。単なる「茶道とは何か」を説いた本かと思うと、大違い。

...一般の西洋人は、茶の湯を見て、東洋の珍奇、稚気をなしている千百の奇癖のまたの例に過ぎないと思って、袖の下で笑っているだろう。西洋人は、日本が平和な文芸にふけっていた間は、野蛮国とみなしていたものである。しかるに満州の戦場に大々的殺戮を行い始めてから文明国と呼んでいる。...

...もしわれわれ(日本)が文明国たるためには、血なまぐさい戦争の名誉によらなければならないとするならば、むしろいつまでも野蛮国に甘んじよう。...

...東西両大陸が互いに奇警な批評を飛ばすことはやめて、東西互いに得る利益によって、よし物がわかって来ないとしても、お互いにやわらかい気持ちになろうではないか。...諸君は心の落ちつきを失ってまで膨張発展を続けた。われわれは侵略に対しては弱い調和を創造した。諸君は信ずることができますか、東洋はある点で西洋にまさっていることを!

The Book of Teaが出版されたのは1906年。当時、西洋に対して東洋の伝統文化を、こうやって堂々と説いた日本人がいたのだ...

今の日本が世界に対し語るべき物あるいは事は何だろう?

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