明治維新は長州藩や薩摩藩の人口増大に起因する?
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週末、速水融著の「歴史人口学で見た日本」(文春新書)を読了。
歴史人口学なる学問が存在すること自体、この本を読むまで知らなかった。著者が留学先としてポルトガルを選択したにも関わらず、ベルギーに移ることになったきっかけや、歴史人口学なるものに出会ったいきさつも、なんとなくコミカル。難しい専門書なんかではなく、下手な小説よりずっとわくわくして読める。
ある国や、町や村の人口動態、静態、分布状況を地道に調査する学問。そこからは、誰かが意図的に書いた書物には見つからない、今まで知らなかった日本の姿が浮き上がってくる。
江戸時代には、江戸や京、大阪など都市の人口は増えなかった。
江戸時代に人口が増えたのはどこかというと、北陸や西日本など、そういう大都市のなかったところである。人口が増えた西日本には長州藩や薩摩藩があった。その地域が明治維新の主動力になっていったということは、そういう人口増大による圧力があったからかもしれない。
人口増大だけでなく、分家との関係にもふれながら、江戸時代の現状に不満のある分子が明治維新の原動力になったという推論。そういう考え方もあるのね。
ところで、巻末で著者は、その研究に不可欠な人口データベースの入力作業にかかる費用をまかなうのが大変なことにもふれている。こういう作業って、草の根レベルでボランティアを組織して遂行する、ことはできないかしら...と、ふと考えた次第です。
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