捏造された「日本人像」?
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日本から買って帰って来た本のうち、網野善彦著「日本社会の歴史」(上)(中)(下)(岩波新書)を読了。
はっきり言って読みやすいとは言えなかった。実家の周りには楠木正成ゆかりの地がいっぱいあるのに、彼をはじめ「太平記」の頃の日本について、ほぼ無知だったことも痛感した。
3冊読了して、何を学んだのか振り返ってみる。それは、本書が冒頭で掲げる地図に集約されている。
普段よく見るのとは違い、アジア大陸側から日本列島を眺める。九州はいかに朝鮮半島と近く、北海道はサハリン経由で何とロシアに近いことか。そして海は、島々を孤立させるものではなく、島々をつなぐ重要な交通経路だった。「島国」だから孤立していたという今までの通説を、この本は一貫して論駁する。
現在私達が当然のごとく考えている「日本人像」の多くは、明治以後の政府の指導者達が、教育を通じて国民に刷り込んだものだとして、著者は「明治政府の果たした役割については、これまでよりもはるかにきびしいマイナスの評価をしなくてはなるまい。」という。
農業、女性の地位、差別意識、宗教....これらの単語から私が連想する「日本人像」を、ことごとく打ち破ってくれた本です。
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