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元証券アナリスト、前プロダクトマネージャー、既婚な現経営者が、日頃の思いをつづります。

「あまり儲け過ぎてはいけない、つぶれてしまう」

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宮本常一著「イザベラ・バード」の『日本奥地紀行』を読む」という本がある。イザベラ・バードは、1878年(明治11年)6月から9月にかけて、日本の東北地方から北海道にかけて歩いた女性。この本は、民俗学者である著者が、彼女の紀行文を題材に行った購読会での話をまとめたもの。

イザベラ・バードが、ある温泉宿に泊まった時のこと。

「どれほど長い間宿屋を経営しているのか、と未亡人にたずねたら、彼女は誇らしげに『三百年です』と答えた。」

この一節について、宮本常一はこう加えている。

「また、伊豆の修善寺へ行ったとき、そこの古い宿の主人たちと話していると、古い所は鎌倉時代から続いているという宿もあり、とにかくあまり儲け過ぎてはいけない、つぶれてしまう、というのです。何百年も続いたのは、皆に親切にしてきたからだと。」

この部分を思い出しては、ふと疑問に思う。企業の成長と何百年にわたる存続とは、果たして両立するのかと。

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