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元証券アナリスト、前プロダクトマネージャー、既婚な現経営者が、日頃の思いをつづります。

アメリカのシンクタンクは日本の政権交代をどうみている?(その2)

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昨日の続き。

「政権交代」

8月30日の選挙は、日本の有権者が、自民党に匹敵する別の選択肢を得た、初めての選挙だった。11年前に発足した民主党は、多様な政見を持つ人々で構成されている。党の初期リーダーの一人である菅直人は、厚生省の不正行為を追求することによりその名声を得た。現党首の鳩山由紀夫は、終戦直後のリベラル政治家の一人の孫息子だ。民主党の選挙参謀は、他でもない、日本の政治再編成という複雑な過程の煽動者小沢一郎である。民主党が表舞台に躍り出たのは、彼の選挙手腕があってのことだ。党のメッセージは、シンプルで明確だった。「有権者に選択肢を」である。民主党は、根本的改革を望み、自民党が戦後築いてきた特定団体との関係を断ち切る、機構変革を目指している。選挙演説で、民主党党首の鳩山は「大掃除(a massive cleanup)」を約束し、選挙により選ばれた国民の代表、すなわち政治家が、その実権を握るべきだと説いた。

小泉も民主党も、政府に対する官僚支配の打破に焦点を当てた。2005年には郵政改革が、小泉の主張する小さな政府の旗印となった。官僚に自分たちの暮らしを本当に決めてもらいたいのかと、日本国民は問われた。今日、民主党は似たような主張を行った。政府は大きすぎ、官僚はあまりに無責任だ。官僚をたたき、国民の代表による統治を取り戻す、というのが、日本政治の新しいマントラである。

しかし、長期視点に立った課題は、日本が二大政党制に移行するに当たり、いかにして統治能力ある政党を築くかということだ。第二政党を作るという難事はまず達成された。次は、より予見可能で安定した関係ー官僚が卑劣なパワーゲームに陥ることなく、政治家が政策を練り実行することを可能にするようなーが定義できるかどうかだ。根幹には、自由でオープンな議論がなされるかどうかにかかっている。日本の社会のあらゆるレベルでそのような議論がなされてこそ、日本の政治変革が進むのだ。

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