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元証券アナリスト、前プロダクトマネージャー、既婚な現経営者が、日頃の思いをつづります。

明治維新をイギリス人に学ぶ

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アーネスト・サトウは、明治維新の前後に駐日英国公使通訳官、後に駐日英国公使として日本に滞在したイギリス人。萩原 延壽著の「遠い崖 アーネスト・サトウ日記抄(1-14)」は、初めて日本の土を踏む1862年から20年間に渡ってサトウが綴った日記を元に、当時の日本の様子を克明に語る。

文庫本で全14冊。途中でくじけそうになったが、今日で12冊目を読了し、やっと終わりが見えて来た。

幕末、江戸城無血開城を実現した勝海舟。維新政府の参議でありながら、サトウには忌憚なく政府批判の言をはく。急速な西欧化、特に武士階級の特権剥奪に対し、サトウは少なからず不安を抱く.....

坂本龍馬、西郷隆盛、大久保利通、木戸孝允、徳川慶喜、勝海舟、岩倉具視、伊藤博文など、私が歴史の教科書でしか知らない人物と、サトウはすべて個人的に知り合い、日本語で議論を戦わせた。彼の眼に当時の日本がどう映ったかが、とても興味深い。

明治維新により、日本という国は何を追求し、何を捨てると選択したのか。あの時の選択はすべて正しかったのか。あの時捨てたが、今日本が見直すべきものがあるのではないか.....百年に一度の危機と叫ばれているが、いっそ思い切って、明治維新から140年余りかけて出来上がった常識を疑ってみてもいいのではないか.....そんなもやもやとした疑問を持ちながらこの日記抄を読んでいる。

それにしても、この大作を書き上げた著者に脱帽、です。

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