複数のものさしを持ってる社会にあこがれました
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今から30年も昔、アメリカはペンシルバニア州の片田舎に、高校交換留学で1年ホームステイしていた時のこと。
ある日ホストマザーが、私のクラスメートのバーバラのことをさしていった。「彼女はとても頭がいいのよ。数学はできないけれど。」
え?数学ができないのに頭がいいなんてありえるの?
私が通っていた日本の高校は、定期試験のたびに「あなたはxx人中xx位」という順位を書いた通知簿を各生徒に配った。総合得点というものさしだけが存在していた。
それが、ホストマザーの一言で、自分を測るものさしは別に一つには限らないことに気づかされた。もっといえば、誰でも、自分が一番だといえるものさしを自分で定義すればいいわけじゃない。数学はだめだけど、クラスメートに対する親切さでは校内一番とか。
留学中いやな思いもしたけれど、この、人を測るものさしが複数あることを知り、いっぺんにアメリカという国を見直してしまった。
私がアメリカに住む気になった最初の動機が、あのホストマザーの言葉にあると思っている。
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